東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

第三次対天界防衛戦記録 帝都防衛戦

「第二分隊から連絡が途絶えました!」
「第四分隊同じく!」
「敵軍本隊出現!数、およそ四千!」
「ッ、遂に来やがったか」
キングアトラスは歯を噛みしめた。せめてあと十分、いや五分あれば敵軍先遣隊を殲滅できた・・・、かもしれなかった。
キングアトラスは即座に命令をだす。
「リーザとリーヤ、それと第二十三対神仏兵装師団は敵軍本隊を叩き、我々は分隊救出及び敵先遣隊を殲滅する!第三軍に伝えろ!!」
「「「ははっ!!」」」
兵士達は命令を受領すると直ぐに動き出した。帝国軍、それも帝都防衛軍は精鋭揃いだ。命令はあっと言う間に伝達され・・・
「閣下、第三軍、応答ありません!」
「・・・、何!?」
あのリーザとリーヤの(馬鹿)コンビが従える最強の第三軍を蹴散らした・・・!?連絡がつかないのならそう考えるのが妥当、かつ常識だった。
「閣下!背後に天使の部隊が展開中!包囲されます!」
「こんなときに・・・!霧雨!幽谷!撃てぇ!」
陣地の南側、牽制のために配備していた[霧雨之主砲]、[幽谷之巨砲]が砲撃した。ばかでかい音量の砲声が一帯の大気を震わし、次の瞬間に爆発音が響き渡る。
[霧雨之主砲]と[幽谷之巨砲]は通称[LD]と呼ばれる対神仏兵器だ。魔力や神力を送り込み、天使や神々に威力の高い攻撃が可能となった。
通常の兵器では、神々はおろか天使にすらまともにダメージを与えることが出来ない。
「砲撃直撃・・・、いえ囮です!」
兵士がキングアトラスに言葉を述べた一瞬後、陣地の南側で大きな爆発音が響いた。
「両砲台大破!本隊接近!!」
「・・・ッ、ここまでか・・・!」
せめてあと一升は日本酒を呑みたかった・・・!そう後悔しつつ、キングアトラスは最後の命令を下す。
「全部隊に通達!もはや此処での戦闘は効率的ではない!ルート32とルート56を使って帝都へ退却せよ!」
「り・・・了解!」
軍隊では命令が絶対。兵士たちは撤退準備に取り掛かる。
「よし・・・、あとは時間だな」
キングアトラスは背の翼を広げて飛翔した。直ぐに地上から一里ほど離れたところで飛翔をとめ、空中で静止する。向こうには、敵の本隊と思える約四千の神々が接近中だった。
「本隊四千・・・、俺が遅滞戦闘をしねぇと」
キングアトラスは言い切った刹那、双掌から業火を発生させ、本隊に向かって撃ち出した。
過去、その強大な力を持って全世界を混乱に陥れたとして恐れられた元・破壊神であるキングアトラスの放った業火は、敵神々の発生させた結界を薄紙の如く貫き次々と焼死体を造り出した。
「ハッ、こんなもんかよ」
キングアトラスは愛用の剛剣を抜刀し、紫電の如く敵本隊に突っ込んだ。そのスピードはさながら流星のようで、敵の神々すら一瞬とはいえ反応が遅れたほどだった。
「・・・ッ、おらぁっ!!!」
キングアトラスの振るった剣は一太刀で二人の神を斬り伏せた。
神々は決して弱くない。ただ、キングアトラスが強すぎるのだ。
キングアトラスは返す剣でさらに三人を血の海に沈め、死屍累々を築いていく。
「どうした!帝釈天の軍勢はこんな物か!」
キングアトラスは挑発する。周りの神々は必死に応戦するがその実力は猫と鼠。否、竜と蟻。その戦場はキングアトラスが蹂躙していく。
だが、世の中そんなに甘くはない。帝釈天配下の神々はちゃんと対抗策を用意していた。
「そろそろ時間だ!全軍引け!」
敵軍の司令官らしき神が号令をだし、バラバラに引き上げていく。
「・・・もう終わりか」
キングアトラスも逃げている輩を背から叩き伏せるのは好きではない。見下すように敵軍を見た。全く動かないので烏合の衆かと思っていたが、ちゃんとした計画か罠があるらしい。
「じゃ、その罠に足突っ込んでやるよ」
キングアトラスはその場で待つことにした。

・・・待つこと四分。
敵軍の切り札がやっと姿を見せた。
見たところ、ただの男性の彫刻だ。手に武器らしき物は所持していない。ただ感じられるのは殺気だけだった。
キングアトラスは彫刻に声をかける。
「おい彫刻。てめぇが帝釈天軍の切り札でいいのか?」
彫刻はしばし動きを止める。
(コイツ、思考能力があるのか)
そう思いながらキングアトラスは彫刻の動きを注意深く観察する。
そして静寂が切れた時。
彫刻は一瞬で間合いを詰め、キングアトラスの眼前に「出現」した。
(ん・・・なッ!?)
キングアトラスは声を出せずに吹き飛ばされた。
どうも蹴飛ばされたらしい。
(痛ぇ・・・!効いたぞコレ・・・!)
キングアトラスは身を一回転させて彫刻をみやる。
「あの一撃は参戦布告の合図でいいよな・・・!」
キングアトラスは両掌に紅蓮の炎を纏わせ、彫刻に直進する。彫刻は回避の素振りを見せない。
(構え無し、絶対なめてやがる・・・!)
「死ねオラァァァ!!!」
キングアトラスは両掌に込めた炎と衝撃波を彫刻の腹部に叩きつけた。
だがしかし。
彫刻はびくともしなかった。
(な・・・直撃のはずだが・・・!?)
キングアトラスは語尾で彫刻に両手で叩きつけた。その威力が尋常ではなく、キングアトラスは高速で地面に叩き落とされた。
「くそ・・・!なんだあれ・・・!」
文句と血を吐き出す。
「か・・・閣下!?」
地上で撤退準備をしていた兵士が駆け寄る。
「来るな!」
その忠告、時既に遅し。兵士は空から飛来した彫刻に蹴りで吹き飛ばされた。
おそらく、瞬時に絶命しただろう。
「貴様・・・!」
「おい!此方だ、撃てぇ!!」
撤退準備をしていたはずの部隊の戦車が二両、彫刻に砲撃した。弾丸は音速を超えて彫刻に直撃する。
しかし、案の定彫刻は無傷。彫刻は戦車の方向を向き・・・
「くそっ、逃げ・・・」
瞬時に戦車二両を大破させた。単純に、蹴りを一発入れただけである。
(コイツは・・・!仕方ない、神格を完全に解放して・・・)
キングアトラスは再度両掌に力を込め彫刻にぶつけたが、今度は回避せれた上に回転蹴りを食らった。意識が朦朧とする。
彫刻は口を開いた。
「・・・お前はここで殺す」
あまりにも無機質。生命の鼓動を感じられない。
キングアトラスは朦朧とする意識の中、彫刻に最後の質問をぶつけた。
「冥土の土産に聞きたい。お前は・・・、一体何者だ?」
「答えてやる義理が無い」
「ケチだな・・・」
「死ね」
彫刻に腹部へ強烈な一撃を叩き込まれ、キングアトラスは気絶した。
「まだ生きるか・・・、だが、我らの復讐は此処で完結す
「と思う?」
彫刻は背から異常なほどの殺気を感じた。彫刻は後方をみやる。
そこに立っていたのは。
かの世界統一王、リーサであった。
「世界統一王・・・、我らの復讐を邪魔するな。邪魔するならば貴様の命も
「馬鹿言うな外道が。我らの同士への復讐を黙って見ておけと?私はそこまで落ちぶれてないわ」
リーサの声には明らかに殺気をこめている。
「敵対を望むか。しかし、我らに攻撃が通じるとでも思っているのか。我らには
「謎ならもう解けたわよ。貴様はキングアトラスが三千世界で殺した生命の復讐心を帝釈天に寄付された石像に乗り写した具現。貴様はその復讐心故に、キングアトラスの神格を超え攻撃を受け付けなかった・・・。違うかしら?」
「・・・正解だ」
リーサは武神格を解放し、金剛九尾に変身する。
「私の神格は貴様の復讐心を圧倒的に超えてる・・・。貴様の復讐は終わりよ」
リーサは彫刻に向かって走り出した。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「・・・お、やっと起きたか酔っ払い」
キングアトラスが目を覚ますと其処にはリーザが椅子に座っていた。周りを見ると、ここは帝都・王宮の治療塔らしい。
「あいつは・・・、あの彫刻は」
「ん、あれか。あれはリーサに見事ぶっ壊れたよ」
「そうか・・・」
「よし!看病終わり!じゃあな酔っ払い」
「おいコラ酔っ払いってどうゆう事だ」
リーザは笑いながら向こうの方向へ走り去った。キングアトラスはベットから降り、髪をはらう。
「リーサが・・・、か。」
哀れな彫刻よ。リーサの怒りに触れたとは虚しき人生の終わり方だったな・・・。南無阿弥陀仏。
「アーメン」
「なにアホらしい事言ってんの」
「うお!?」
キングアトラスの背後に、リーサがいた。怪我で五感が衰えたか・・・、と思うキングアトラス。
「あの彫刻、あんたへの復讐心だったわよ」
「あ、やっぱりな。薄々わかってた」
「ついでにあの残党どもは魂ごと砕いてやったわ。ま、これからは復讐とか敵討ちの対象にならないよう自重することね」
「もう遅いとおもうがな」
「誰もが知ってるわよ」
「だな」
軽く話をした後、リーサはキングアトラスの全身をパッと見ると、
「怪我は回復したわね。今日は休んでいいから、ゆっくりして。でも明日から気絶してた分働いてもらうわ」
「よし、夜逃げするか」
「させないわよ」
「分かってる」
リーサは何時ものキングアトラスに戻ったことを確認すると、満面の笑みを見せた。
「まぁ、よかったわ。」
「お陰さまで」
「ええ、感謝する事。じゃあね」
リーサは飛び去ろうと翼を広げた。その時、キングアトラスは何かを思い出したような顔をなる。
「・・・、どうしたの」
「ああ、いい忘れてたが」
「?」
「ありがとな」
・・・、静寂。
「・・・、別に。同士なんだからあたりまえでしょ!」
リーサは赤面し、勢いそのまま飛び去った。
「・・・、歳は幾万だろうと感情は変わらんか」
キングアトラスは虚空を見つめ、独白した。それからしばし黙った後。
リーサの反応に爆笑した。