東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

東方絶天火 2

白夜と霊夢が博麗神社を出発した時。その更に上空で、黒い着物を着用している、長い黒髪で若干12歳の少女がその動きを監視していた。太陽から照らされる溢れんばかりの光を受けて、汗を一つもかいていない。少女の髪が、風で靡く。
「・・・白夜発見。予想通り、博麗神社から飛び立った。これより遅滞戦闘、及び迎撃を開始する」
少女は霊夢達を上回るスピードで行動を開始する。

全ては、元の世界に帰らんが為。
全ては、仕えるべき主の為。

少女の思いと共に、全ての時が動き出した。



「ん、向こうに誰かいるわ」
霊夢は進んでいる北東の空の先を見る。確かに向こうに、黒い人影がある。人影は段々と大きくなり、本人の顔が見えてきた。
「障害その一。神殿の主祭神太刀持ち・・・、失礼、侍従の一人。・・・だといいが」

「こんにちは、白夜。それと博麗の巫女。ご機嫌は」
黒い着物を着た少女が口を開いた。その口調には、明らかに殺気が込められている。
「最悪よ」
霊夢も、その殺気に応えるべく臨戦態勢に入る。しかし、白夜が一歩前に出て霊夢を制する。
「こんなところで何の用、禍津」
「えぇ、主に命じられての迎撃よ。貴女達をね」
「神格のはしくれが?私らに勝てるとでも・・・?」
初めて聞く単語に、霊夢は首を傾げる。白夜は、気付いたように説明を始めた。

神格「禍津日神」。イザナギが禊を行って黄泉の穢れを祓ったときに生まれた神で、災厄を司る神霊である。厄除けの守護神として信仰されていたが、現在は神格の一つとして竜神に仕え、竜神の矛となっている。

「そういうこと?じゃああいつは、要するに邪魔しに来たって事?」
「まぁ、そういうことだ」
「人の正体を勝手にばらさないでくれる?ま、その通りだけども」
禍津は自身の殺気を解放する。
「まぁ、時間稼ぎしかできないけどね・・・」
禍津が片腕を上げた。その瞬間、白夜が「来るぞ!」と叫ぶ。

「『災厄・大禍時の鐘』!」

禍津の漆黒のオーラが瞬く間に結晶化し、弾丸に形成されるまでが僅か0.5秒。
どす黒い弾幕が放たれた。
「回避するわ!」
二人は、弾幕の間の小さな間合いから、華麗に避けていく。
霊夢、先に行って!」
白夜が霊夢の盾になるように前にでた。
「でも、
「満身創痍の私じゃ、二の舞になるのが関の山!霊夢が先に行った方が勝率が高い!」
「・・・わかったわ」
霊夢は白夜に背中を見せて飛んでいく。白夜はそれを見るなり、肩の力を抜きつつ、右手を掲げた。刹那、白夜の眼前に自分の背ほどの召喚陣が浮かび上がった。
「『絶天符・マグマオーシャン』」
溶岩の津波が出現した。比喩しようもない、紛れもない溶岩の津波だった。
「う・・・嘘ッ!?」
禍津は後方に飛んで回避を試みる。しかし、それが無駄だと即座に判断した禍津は、漆黒のオーラを結晶化して自分の身を囲むように結界を張る。

溶岩の津波は大気を焼き、大気を焦がし、禍津に直撃した。

「っぶな・・・」
「何だ、生きてたの?」
「失礼な・・・あんた、さっき『自分は満身創痍だ!』って言ってなかった?」
「えぇ、そうだけど?」
「怖い・・・。流石は、『最強の武神』と謳われたほどはある」
「そう。あんたは、その『最強の武神』に敗北する」
白夜は両腕を掲げた。同時に、九尾が白銀に煌めきだす。

白夜が『最強の武神』と云われた所以。その所以は、彼女の能力に由来する。

修羅神仏をも寄せ付けないその能力が。

そして、白夜は口を開いた。


「召喚、『干渉結界』」


白夜達が禍津と出会う少し前。北東の空に、それは浮いていた。
銀と金で装飾されたその建物を、紅竜玉神殿という。

「遂に見つかったぞ、白夜が」
神殿内部で、玉座に居座る一人の外見16歳程の少女が、眼下の人達に言った。その外見たるや、正に太陽に相応しい表情と容姿だ。神々しい、正にこれの事だろう。
「『全知』。奴らは何時来る?」
「ほっとけば、一刻ほどかな?」
全知と呼ばれた15歳程の少女が可愛らしい返事する。呼ばれた名前と、外見が全く一致しない。
「でも、博麗の巫女が相手では並みの神格ではさらっとやられるねー」
「ならば相応の戦士を送るまで。・・・『戦凶』、行ってくれるか」
「仕方ねぇ、竜神の命令ならな」
戦凶と呼ばれた少女が適当な返事をし、神殿の窓から飛び去った。竜神は、戦凶の背中を確認すると、視線を窓から眼下に戻した。
「我らは望まぬままこの地に来た。存在は縮小し、元の力は永遠に失われたかもしれん」
竜神は一息ついて、口を開く。
「我らはこの地で、再度力を取り戻す。幾万の妨害が立ち塞がろうが、全てを踏み潰す。この地は、我らの手によって永劫に支配されることとなる」

竜神の決心が、その言葉に込められていた。固い決意。何者にも屈しない、強い思いが。

「忘れられた者が住む幻想の地よ。我らの強大な力に、ひれ伏すがいい・・・!!!」

竜神の言葉と共に、熱風が神殿から吹いた。

こうして、異変の元凶は、存在をあらわにしたのであった。




ニ作目!結構早く完成しましたが決して手抜きじゃございません!泣いてしまいますよ!?
東方絶天火は中々良い評価をいただいているので、今のところ打ちきりは無いかと。
では、これからも宜しくお願いします。