東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

東方絶天火 12

「では巫女さん。ちゃちゃっと封印する準備に入りましょうか」
キングアトラスが軽い口調で始める。キングアトラスの隣にはボロボロになった白夜がおり、実際に準備に取り掛かっていた。
霊夢は既に大広間に連れてこられたが、改めて見るととてつもなく広い。
おまけにこの広間には神気が満ちており、壁中に札が貼られている。その一つ一つが厄を祓う事に特化された種なのだろう。封印するにはうってつけの空間だと思える。
「こんな設備が整ってたら、無理矢理神様を封印する事も出来るでしょ」
霊夢は大広間の天井を指差しながら、キングアトラスに問う。
「なんで私に力を貸してほしいわけ?」
「それは、博麗の巫女が、この大結界を維持してるから」
と、答えたのは準備中の白夜だ。口こそ開いているが、作業はそのまま続けている。その顔は真剣そのままである。
「博麗の巫女といえば、代々この大結界を維持する、巫女の中でも五指に入る技量を持ってる。加えて妖怪退治で精神面も鍛えてるから、封印時の圧力にも堪える事ができるはず。まぁ、本音は
「俺らの封印する技術が皆無って事だな」
語尾をキングアトラスが盗る様に言った。白夜はキングアトラスをキッと見て「オメェ・・・」と訴えている。
「知らんって・・・・・、あんたら、前は封印出来てたんでしょ?」
「そりゃ、『全知』のリルアともう一人その分野に特化した奴に任せたからな。俺は神格に成ったアジ・ダカーハを受け取っただけ」
両手を挙げて降参のポーズをとったキングアトラス。
「基本、私ら神霊は面倒な事は別人に押し付けるから。赤の他人にでも」
と、白夜が言い加える。霊夢はそれを聞いてガックリと肩を落とした。
「あんたら、ホントにやる気あんの?まぁいいわ、さっさと始めましょう。でも、具体的に何をすりゃいい訳?」
霊夢はささっと白夜が用意した陣の中に入る。白夜とキングアトラスは向き合ってしばし思案し、
「俺らは陣にアジ・ダカーハを抑えれる程度になるよう神力を注ぐ」
「で、霊夢はアジ・ダカーハが来たら、祈りでも捧けて封印する。多分出来るんじゃない?そこら辺は悪いけど知らないけど」
と、提案した。霊夢は適当だな、と苦い顔をした後、陣の真ん中まで移動し、正座した。
「まぁそれでいっか。それっぽいのは覚えてるし」
「じゃ、神力を注ぎますか」
白夜とキングアトラスは丸い陣の、霊夢の左右に分かれて正反対の所で正座し、呪文を唱え始めた。霊夢は、やるときはやるんだ、と思いながら合掌し、祈りを捧げ始めた。



「やはり・・・・・、これ程の妖怪を集めてもこのザマか・・・・・!!」
リーヤは言葉を失う。アジ・ダカーハは、これ程の妖怪その他を相手どって互角以上の戦闘を展開しているのだ。

神奈子の御柱を弾き返し。
レミリアの槍にものともせず。
幽香のレーザーを退け。
フランドールの体術すらも片腕で振り払った。

「困ったわ、私の能力が全く効いてないみたい」
「私もだよお姉ちゃん!この人、バラバラに壊せない!!」
幽々子が苦笑する。これはホントにヤバイんじゃないかしら、と思っているのだろう。逆にフランドールは歓喜していた。
「この人なら私と全力で遊べるわ!」

妖怪達の攻撃の五体で受けてなお、リルアの体で満身の状態でいるアジ・ダカーハは、奮闘する一同を見て、
「幻想郷の妖怪達は、この程度のものなのか?」
と嫌味を言ってみせる。近くで弾幕を張っていて、たまたま聞こえたレミリアは、
「な、なんですって・・・!!」
かんかんに怒気をふくらませた。レミリアは味方の弾幕を無視し、自慢の俊足で一気にアジ・ダカーハの懐に飛び込む。
「くらえ・・・ッ!!」
レミリアの華奢な体からとは思えぬ、強烈な飛び蹴りがリルアの体もといアジ・ダカーハの腹に直撃した。手応え有りと感じたレミリアは、そのまま追撃の蹴りを食らわせようと構えた。その刹那にも満たないその一瞬の隙に、
「再三、同じ手をして反撃が無いとでも思ったか」
アジ・ダカーハに両足を鷲掴みにされた。レミリアが脱出しようと行動に出る前に、アジ・ダカーハはレミリアハンマー投げの要領でレミリアを投げる。
「な・・・・・ッ!?」
その速度は、加速が無いにもかかわらずレミリアの最高速度に匹敵し、また的確に萃香を狙っていた。
「ぅおいっ!」
無理矢理レミリアを受け止めた萃香。アジ・ダカーハは好機と、一気に一町(大体110メートル位)の間合いを詰める。鴉天狗や吸血鬼程には及ばないとはいえ、鬼の姿で瞬間間合いを詰められると誰でも驚くだろう。
「かぁッ・・・・!!」
アジ・ダカーハから放たれた、重い一撃。萃香レミリアを抱えた状態で、右腕一本で受け止めてみせた。
「流石鬼と言ったところか?他なら腕が砕けるだろうに」
「誉め言葉をどうもッ」
萃香が反撃の一撃を加えたが、アジ・ダカーハはそれを紙一重でかわし、再び距離をとって両手を掲げる。

「『狂宴・死者の行進曲』!!」

不協和音と共に放たれる弾幕。空間すらもねじ曲げる邪悪な気配は、見るだけでも嫌悪感が湧いてくる。しかし、それ以上に不協和音が頭の中で反響する方が痛手であった。
気分を悪くさせ、動きを鈍らせ、弾幕を避けていても何時かは気を失ってしまう、そんな弾幕だ。
「本当に・・・やりにくいな全く!!」
神奈子が口を漏らしながら弾幕を避けつつ、反撃の弾幕を張る。しかし、大半はアジ・ダカーハの弾幕と相殺するうえに、当たっても効果が薄い。
激情する一同とは別に、紫だけはマイペースの攻撃を加えながら考え事をしていた。
(合図って・・・・・、キングアトラス、貴女は神力を注いでいて手が離せないはず。どうやって合図を出すつもり!?)
キングアトラスが行ってしまった後に思った風穴。既に、どうにかしてアジ・ダカーハをスキマに入れ、陣に移動させる算段はついているが、連携が出来ない以上、この作戦は成功しない。
こうしている間でも、敵の行動は止まらない。
「弾幕はなかなか当たらないな・・・・・」
と、アジ・ダカーハは戦法を切り替える。弾幕を解除し、拳に力を溜めて幽香との間合いを一気に詰める。
「早い・・・っ!」
精錬された反射神経でアジ・ダカーハの行動を読んだ幽香は、両手で一撃を受け止めんと構える。
「ふんッ!」
アジ・ダカーハの蹴りは幽香の両手のひらに、吸い込まれるように叩き込まれた。衝撃こそ緩和出来なかったが、本流のダメージは受け流すことが出来た。
だが、アジ・ダカーハはこれを知っていと様に電光の如く幽香の背に回り込む。幽香はその動きを見ることしかできず、背中に重い蹴りが加えられ、同時に骨が折れたような音がした。
「がはッ・・・・!!」
案の定幽香は吹き飛ぶ。その先にいた神奈子が抱き抱えるように受け止めるが、見るからにしばらくは戦闘継続が難しいだろう。
「くそっ!」
魔理沙八卦炉を掲げてラストスペルを放とうとした、その刹那の一瞬。

紅竜玉神殿に、雷が落ちた。それも、一つや二つではない。雷の雨と言わんばかりの数である。

そして、落雷と共に大声が響き渡る。

「【悪竜】アジ・ダカーハ!!此処でお前に永劫の束縛を与える!!大人しく黙って封印されろぉ!!」

何処ぞで魔理沙霊夢に敗北したリーザ・ヴァルボロストが雷をバックに立って叫んでいたのだ。
リーザは自分の背丈程もある剣をアジ・ダカーハに向けた。
「妖怪ごときが、と思っていたならこれで詰みだ!!紫、準備は八割方終わったぞ、スキマを開け!!」
リーザは、霊夢達との戦闘後、紅竜玉神殿に回収されていたらしく、内部の動きを知っていた様に言った。真実であれそうでないであれ、これを信じるしかない、と紫は即座に判断し、レミリアを抱えたまんまの萃香に顔を向けた。
萃香、さっき言った手を実行するわ!お願い!!」
「おう、任せな!!」
萃香はその思いに直ぐ応え、レミリアを放り投げてアジ・ダカーハに突撃した。
「何をするつもりだ」
アジ・ダカーハは身構える。無論、萃香の馬鹿力の迎撃だ。が、アジ・ダカーハの予想は大きく外れた。
「さっきはよくもやってくれたわね・・・・・!!」
レミリアが、萃香を大きく上回るスピードでアジ・ダカーハに接近していたのだ。その左手にはグングニルの槍が握られている。高速で接近するレミリアに対して、反応が遅れたアジ・ダカーハは、そのままレミリアの必殺の突きを右手で受けた。ダメージこそ無いが、アジ・ダカーハの動きを止めることが出来た。そこに、隙ありと萃香の正拳がアジ・ダカーハの腹を襲う。
それと全く同じタイミングで、アジ・ダカーハの背にスキマが開いた。
「ぐぅ・・・・・ッ!!」
スキマの先は、霊夢達が用意している封印の陣である。アジ・ダカーハは右手でグングニルを、左手で萃香の正拳を受け止め、スキマの一歩前まで退く。だがそれ以上は下がらんと踏みとどまった。
「・・・・・嘘でしょ!?」
「くそ、まだなの!?」
「ぐ・・・・・、我が・・・、この程度でぇ・・・・・!!」
アジ・ダカーハは萃香と同じ背丈にも関わらず、後退せぬように力で押し返してくる。その力は萃香レミリアの力でも止めれぬ程強い。攻勢が逆転しそうになった、その時。

「やったらやりかえされるのは、当然の事でしょう?」

幽香が、ボロボロの姿でアジ・ダカーハの前に立ちはだかった。幽香も、幻想郷ではトップクラスの怪力である。
幽香の憤怒の込めた一撃が、アジ・ダカーハの無防備の腹をえぐった。
「ぐぬ・・・・・!!」
多少足掻いたが、アジ・ダカーハも三者の怪力に耐えきれず、スキマの向こうへと投げ出された。

「・・・・・、後は頼んだわ、霊夢
此方の仕事は全て終わった。紫は、神殿の中の巫女と神霊の、幸運を静かに祈った。





ふぅ。やっと12を投稿出来ました。
弾幕勝負に関係ないような戦闘で申し訳なく思っています。東方であって東方ではないみたいな。
投稿も遅かったですが、文字数も多くなってしまいました。倍くらいに。夜に投稿したのもそれが主な原因です。
次か、そのくらいが最終回でしょうね。シリーズは考えてませんが、短編はいくつか考えています。
毎度の事ですが、ご意見・ご感想、ご助言が有りましたら一つでもコメントください。コメントは誰でも出来るようになってますし、若輩の自分が書く東方二次小説は古参方にどう思われているのかも知りたいですし。基本自己満足ですが。
ではでは。