東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

東方絶天火 番外編

ピンポンパンポーン。

この話は「東方絶天火」の番外編ですが、幻想郷が殆ど関わっていません。無輪、霊夢とかの異変解決組も万に一つしかありません。

そこらへんをご了承ください。

今ならUターンも可能です。

 

 

 

 

 阿鼻叫喚の渦。こだまする爆発音。問答無用に奪われる命。全てに等しく与えられる死。空しく砕かれる希望。

此れが敗者の結末。此れこそが世の常識。

この世界に平天は無い。戦場の中心で、血潮に濡れた一人の少女が口を開いた。

「見よ、此れが天下の残酷さだ」

こうして、また一つの世界の、終焉の幕が閉じた。

 

 

 

「お、キングアトラス。無事に帰還か」

最高級のベットに寝転びながら、大剣をいじるリーザがキングアトラスを出迎えた。此処はキングアトラスの部屋であり、いくら帝国の皇帝補佐でも容易に入室するのは禁じられているはず。キングアトラスはそう思って大きな溜め息をはいた。

「見ての通り満身創痍だ。全く、今回の相手は多少手を焼いた。最悪、自分達を道ずれに惑星を吹き飛ばそうとしやがったからな」

キングアトラスは奥の自分用の椅子に腰かけようと机に体重をのせる。キングアトラスの体格に合わない大きな机だが、する気もなく机にヒビが入った。

「キングアトラス、太ったか?」

「お前な、失礼にも程があると思わんか」

ヒビの入った机を無視して、おそるおそる椅子に腰かけてみる。それなりの頑丈さが有るにも関わらず、ミシミシと鈍い音が聞こえた。

「神様は便利だねぇ。信仰は半永久的だので殺せば殺すほど畏怖が溜まるんだから、太るのも当たり前か」

嘲笑にも似た笑いを堪えるリーザ。

「お前は殺すのが本職だから大丈夫だろうがな、普通ならこんなん堪えきれん。・・・・・毎年の人口増加で、他の世界を侵攻して領土を手に入れる、帝国民の為とはいえ、繁栄を極めた世界が終わる様は悲しかったよ」

再び脳裏に浮かぶ阿鼻叫喚の渦。自分の目で見えただけの現状ですら、さながら地獄絵図と言える惨状だったのだ。はたして、自分が見えぬ所ではどれ程の愛鴻遍野が広がっていたというのか。

帝国民の為、心を鬼にして、女子供すらも惨殺した自分に、どれ程の正義が有ったのだろう。

「何言ってんだ。人口問題を解決する為に自分で提唱したんじゃないか」

 

帝国の人口問題。飢饉や大災害、戦争が極めて減少した帝国の国土では、爆発的に人口が増加し、とても現在の自給率では国民を賄えなくなった。

餓えが所々で起き始めた時、キングアトラスが人口問題を解決するために、帝国軍最高司令長官、という職の権限を使って一つの草案を議会に提出した。

それが、いわゆる【他世界侵略計画】。

その前段階として、【境界超越実験】が行われた。

平和的に活用する、と言って白夜を騙し、白夜の【干渉を操る力】と【自在に召喚を操る】力で世界と世界の境界を弄くって軍隊を送り、強襲攻撃によって世界を占領。その際、反抗するであろう原住民は皆殺し。

この計画が行われなければ、数千万の餓死者、更に各地の騒動等で合計で億単位の死者が出たと、議会からは賞賛の声があがった。

だが、国民の知らない所で、土地を守るため戦い散った命と、敗戦の結末に死んだ命は、億では足りないかもしれない。

座って笑い合うその大地の下には、どれ程の死が蔓延していたというのか。

 

「民のためにある帝国軍だが、流石にこれはやり過ぎか」

「やり過ぎとかいう次元の話じゃないぞ、キングアトラス」

扉を蹴り破って入ってきたのは白夜だ。今回の計画で散々騙され、悪用され、自粛のため帝都最深部に引きこもったと聞いていたが。

「お前が行った事は大罪だ。これなら国民を捨てた方がずっと人道的だったという事は重々承知のうえで・・・」

「・・・・・・・・・・」

室内が重い空気で包まれた。

 

 

 

「警告!!警告!!帝都内に人成らざる者が侵入!!非戦闘員は直ちに避難誘導に従って退避!!各戦闘員は配置につき、侵入者を撃破!!帝国武神群は要人の護衛につけ!!・・・・・、という警報が現在進行形で鳴っているんだが」

「えぇ、それで?」

警報機がガンガン鳴り響く廊下。そこで一人直立していた人を見つけたキングアトラスは、避難させるために話かけた。

その、話かけた瞬間に分かった事がある。

 

「誰だ、お前は」

「嫌ね、只の妖怪よ?妖怪なんてこの世界じゃそこらじゅうを跋扈してるでしょ?」

「んまぁ・・・・・、確かにそうだが」

 

基本的に、帝国に住む妖怪は殆どが辺境に住み、帝都に居るものは居ない、と記録にある。だが、重要なのはそんな事ではない。

帝国に存在する妖怪は、九割以上が異形の姿をしている。人型なのは数少なく、キングアトラスはその人型の妖怪を全て知っている。いずれも帝国最大級の妖怪だからである。

だが、目の前の妖怪は見たことがない。それも、帝国の大妖怪すらも凌駕する妖気が、一層警戒心を高めていた。

明らかに異質。キングアトラスが引っ掛かっていたのはそこだった。

 

そこへ、向こうの廊下からまた妖怪らしき人物が走ってきた。キングアトラスはそれを見て驚愕する。

九尾の狐。かつて三つの国を傾けた、大妖怪の代名詞。帝国に九尾の狐は元、を入れても一人か二人しかいない。国外では皆無である。

そして、更に驚かせられる。

「紫様、結界の準備が終わりました・・・・・、って、誰ですか、この人」

「驚かせっぱなしだ。九尾の狐程の大妖怪が、まさか主持ちとは」

「警戒することは無いわ、藍。この神様は私達を攻撃することは無い」

「決めつけられて困るが・・・、正体が全く分からん相手に手は出せんのは確かだ」

キングアトラスは九尾の狐の方に顔を向ける。明らかに殺意の込めた声で問う。

「狐。何だ、その結界というのは?帝国に直接、関係するものか否か、答えろ」

九尾の狐は力の差に数歩後退する。代わりに、九尾の狐を従える方の妖怪が問いに答えた。

「気にしないで良いわ、得体の知れない神様。結界の話は私達の世界に関係する事。帝国には全く関係無いわ」

それを聞いたキングアトラスは、溜め息と共に殺意という矛を収めた。

「いまいち信じれんが、まぁ嘘をつきそうじゃ無いからいいか。俺はリヴェン・キングアトラス。一応名前を聞いておこう」

「私は八雲紫。この子は八雲藍。幻想が生きる地の住人よ。これで帰らせてくれるのかしら?」

「あぁ。用が済んだんならな」

紫は、人差し指で空間を一直線に切り開き、スキマを作り出す。先に藍がスキマから元の世界に戻る。紫もスキマに入りかけ、一度キングアトラスの方を向いて、

「ではキングアトラス、ごきげんよう」

と言い残して元の世界へと帰る。スキマが閉じた瞬間、警報が一瞬で鳴り止んだ。

 

 

 

それから一ヶ月。その期間、キングアトラスは帝国図書館に引き込もって大昔の文書を漁りに漁り続けていた。

それから一つのやけに古ぼけた文書を見つける。キングアトラスは本の山の中、パラパラとページをめくって確信する。

「遂に見つけたぞ、幻想の生きる地を・・・!此処に遷都すれば、必ず帝国は最盛期を迎える・・・!!」

幻想の地に集まる竜脈。ここまで竜脈が集まった土地は他に無い。

キングアトラスは、議会に次のような文書を提出した。

 

竜脈が集中する、幻想が生きる地を発見。キングアトラス最高司令長官が代表する帝国軍は、此処に自分を含む帝国を代表する大戦力を送り、速やかに占領、遷都する事を希望する。

彼の地には大妖怪が多数存在すると思われる。帝国を代表する帝国軍戦力は、敵地で時間を稼ぎ、神討兵器群を筆頭とする大兵力を送る。

 

作戦は、一部の反対派の意見を押しきって可決された。

 

 

 

 

番外編終了。時間が無いため長い時間しゃべる事は出来ませんが、「東方絶天火」を愛読して戴き、本当に有り難う御座います。

続編っぽいのをまた来週更新するので、あんまり期待せずに御待ちください。

待つ人が居るかは別として。