東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

東方人鬼襲 ~霧雨魔理沙の襲撃~ 3

リルアはどうか無事であってくれ、と思いつつ図書室についた。

結界を張っていた扉が少し動いている。誰かが既に侵入したことが窺える。

図書室に入った時、本が無惨に散らばっていた。それはリルアが出ていく時もそうだった、そこは良い。

図書室の本が被弾してたり、切断されているのだ。誰かが此処で暴れたのは間違いない。

とどめに、静かな図書室に鳴り響いたのが、少女の歓喜の声と怒号、そして弾幕の音だった。

 

 

「こらっ・・・・・、リルアの大切な本にわざと弾幕を当てるな!!」

リーヤの怒号が図書室内に響く。リーヤは両手に剣を持っており、高速で逃げつつ弾幕を張る魔理沙を、弾幕を剣で叩き伏せながら追いかけていた。魔理沙の移動速度が、俊足のリーヤをもってしても互角。しかし、二つの剣で防御しつつ追いかけているリーヤの方が、見るからに不利だった。

「お前が避けるからたまたま当たってるだけだぜ!」

と、歓喜の声をあげる魔理沙。その手には、既にリルアの所有物である魔導書が数冊握られている。その中には、禁書級の魔導書がある。

リーヤの立場としては、最悪本を死ぬまで貸すのは良いとしても、禁書まで貸し出す訳にはいかない。自分が負ければ貸し出す事に関して文句は言えないが、禁書が好奇心程度の事で開かれれば最後、再び大規模な異変が発生してもおかしくない。外の世界とも境界が崩れる可能性も否定出来ないし、確実に神殿がらみの話になることは間違いない。条約違反として、幻想郷から追放されても文句は言えない。

その点で、リーヤはとても重い任務となったが・・・・・、今、リーヤに、勝率は驚くほど低い。本にかまっていたら、本気を出せずに逃げられてしまう。

かといって、本気を出して追っかければ、本も無事では済まないだろう。其れでは、リルアの文字通り『逆鱗』に触る事になる。幸か不幸か、リルアはあらゆる刑罰の方法を熟知しており、逆鱗に触れて無事だったのは、彼の【蒼き神王】しかいない。いや、彼女も満身創痍だった。

リルアの逆鱗に触れたキングアトラスが、リルアの百八以上の手段で身も心も表情もボロボロになり、

「御免なさい御免なさい御免なさいごめんなさいごめんなさいゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ・・・・・・・・・」

と、部屋の隅でそうブツブツ呟いたのを覚えている。自分が其れを受ける事を想像すると・・・・・・・、涙が出てきそうだった。

こう考えている間も、魔理沙容赦なく猛攻を加えつつ脱出ルートを模索している。壁には『全知結界』が張られているため、如何に魔理沙の火力でも貫くのは難しい。そう考えての事だろう。

そのお陰で、図書室は段々と酷い有り様になっているのは言うまでも無い。何時リルアが気付いて此処に来るか、其れまでに何としても魔理沙を捕獲しなくてはならないのだ。

リーヤは割と本気の涙を浮かべながら、

「頼むから・・・・・、俺に捕まれろ、魔理沙ぁー!!」

と叫んでいた。

 

 

 私は今、後ろから追いかけてくる九尾の虎から逃げている。私は結界で封印されている可哀想な魔導書を有意義に使ってやろうと考えているのだ。私の何処が悪い。勿論捕まってやる筋合いも無い。

しかし、九尾の虎は、唯一の扉に向かわせぬように移動しながら私を追いかけている。若干涙ぐんでいるが、冷静さは失っていないようだった。此れでは脱出出来ない。早く家に戻って、この本も読みたいし。たまたま禁書とか言う本も手に入れた事だし。

好奇心が、新たな行動の糧になった。

 

 

「捕まえれるなら、捕まえてみるんだな!!」

「むっ!?」

魔理沙は、リーヤを突破する為、急に方向転換して、あえてリーヤに突撃した。その真っ直ぐ向こうには、図書室からの出口がある。上手く突破出来れば、そのまま逃げ切れるだろう。

「あえて来るか・・・!」

リーヤは両手の剣を、片方は正段に、もう片方は下段に構える。魔理沙も懐にしまっていた八卦炉を取りだし、箒の後ろに付け更に加速する。そのスピードは正に彗星の様だった。

しかし、リーヤには見切りの眼を持つ。どのようなスピードであろうと、横を通りすぎる物を切り伏せるのは自信がある。勿論、狙うは魔理沙の箒。あれさえ落とせば、魔理沙の足は無くなったも同然だ。

魔理沙が、リーヤの眼前に迫る。魔理沙が、リーヤの横を通り過ぎようとする。

・・・、二人の影が交差する。リーヤは刹那的早さで剣を振るった。

しかしその剣が切ったのは箒ではない。

魔理沙自慢の、大きな黒帽子だった。

「ははッ、じゃぁなリーヤ!!」

と高速で逃げ行く魔理沙。あのスピードに、リーヤは追い付けない。

リーヤの脳裏に、笑顔で拷問用具と鞭を持ったリルアの姿が過った。

 

 

 

リルアはボロボロで、ボロボロに成っていく本を見ていた。

此処に保存しているのは、リルアが書き溜めた数千年分の魔導書が有る。ざっと見ても、その半数が酷い有り様になったのは、火を見るより明らかだった。

怒りのあまり笑顔で戦慄くリルア。その時、不意に図書室の奥から声が聞こえた。

「ははッ、じゃぁなリーヤ!!」

明らかに魔理沙の声だ。彼女なら図書室をこの様な有り様にさせるのは苦では無いだろう。犯人は魔理沙で間違いない。

・・・・・、リーヤも、後で拷問決定か。

相手が彗星の早さで突っ込んで来てもリルアに然程問題は無い。鬼の瞳ならば魔理沙を捉えるのは容易い。

リルアは片手を掲げて、一つの魔法を唱える。

・・・・・、此れ程の悪人に、手加減は無用。

扉が勢いよく閉まり、壁と言う壁、床と言う床、本棚と言う本棚が怪しく光出す。

最高の硬度を持つ【全知結界】が、魔理沙へ一斉に牙を剥いた。

 

 

「うわっ、何だいきなり!?」

四方八方から急に弾幕が張られる。どれも撃墜能力が高い無駄に強力なものだった。魔理沙は磨いてきたセンスで弾幕を回避する。

周りを見てみると、幾つもの魔導書が独りでに開き、其処から主だった弾幕が張られているようだ。此れなら攻略も容易い。魔理沙八卦炉を手に持ち、回避しつつ次々と本を焼き払う。八卦炉は山すら焼く代物だ。本の一つや二つ、焼き払うのは難しくない。

身を守る為だ、と思って魔理沙は心の中で黙祷を捧げる。すまん、魔導書達よ。許してくれ。

そうして付近の魔導書を焼き払い終わると、扉が有る方向からまたも弾幕が張られた。弾幕は、灰になった本を更に塵まで分解していく。魔理沙はそれを優雅に回避しながら、弾幕の元手を探すため突っ込んでいく。

 

扉をすぐ後ろに仁王立ちする鬼神が、其処に構えていた。リルアは一度弾幕を止めて、魔理沙に確認をとった。

「この惨事は、貴女がやったの?」

その口調には、笑顔ながら覇気と殺気を漂わせている。

「いや、半分以上はあの虎のせいだぜ」

魔理沙は向こうで呆然と立ち尽くすリーヤを指差す。確かに、自分が放った弾幕よりリーヤが張った弾幕の方が多いし、此方の弾幕を避けた彼方が悪い(本人曰く)。魔理沙は堂々と胸を張って答える。

「私はたまたま此処に迷いこんだだけだぜ。さっさと帰りたいから其処をちょっと退いてくれないか?」

笑顔でバリバリ嘘を語る魔理沙。リルアは笑顔のまま、更に青筋を浮かばせ、割と優しい口調で口を開いた。

「嘘言っても私には通じないよ~?まぁ私の魔導書を持ちながら言っても説得力無いけどね」

八つ当たりで、リルアが隣に有った本棚を殴りつける。リーヤの一閃でも切断されない結構頑丈な筈の本棚は、鬼であるリルアの怪力の前に、成す術もなく崩れ落ちた。木の破片が魔理沙の方にも飛んでくる。魔理沙はあれに殴られたくはないな、と思いつつ破片を払う。

「私の魔導書は兎も角、その禁書だけは返して?そしたら此処の掃除の手伝いで許したげる」

リルアは魔理沙の持つ一冊の禁書と言われる本を指差した。その本の題名は理解不能な言語で書かれており、とても読めそうにない。

「それは、『ゴエティア』と呼ばれる魔導書。七十二もの悪魔を封印した魔導書の、元本。召喚するための呪文とか魔方陣が記載されてるんじゃなくて、本当に悪魔を問答無用に召喚させる禁書だから。魔理沙じゃ扱えない代物だし、開いても幻想郷が又荒れるだけだから。かえしt

「嫌だぜ。ついでに言うなら掃除も却下だ」

刹那に魔理沙の横を過ぎる魔光。其れはリルアが放ったものだと、言うまでも無く魔理沙は感じた。

神話の最高神にトラウマを残す程の力を持った鬼神の力は伊達ではない。今の準備では分が悪い。魔理沙は嫌だったが、自分の身の為に両手を上げた。

「やっぱり降参だぜ。魔導書も大切だが自分の命には変えられん」

魔理沙がそう言うと、リルアは青筋を引かせて、掲げていた手を降ろした。

「分かったら良いよ。さ、魔導書返して」

渋々と魔導書をリルアに手渡す魔理沙。リルアはその題名を確認してから、背後に投げる。すると複数の魔導書何処ぞへと飛んでいった。十中八九、リルアが魔法をかけたのだろう。

リルアが軽く指をパチンと鳴らすと、散らばっていた本が縦に整理されていく。破壊された本棚すらも元通りになる。しかし、魔導書だけは再生出来ないようだった。

「本は地道に棚に入れるだけ。此れなら一週間で終わるでしょ。その間魔理沙は帰らず此処で片付け手伝いね」

「うー、分かったぜ」

「あと、」

リルアは魔理沙の向こうに居る立ち尽くしているリーヤを睨む。

「其処の虎には後でたぁーっぷりお仕置きするので、覚悟しといてね?」

笑顔のまま怒気と殺気と覇気とその他がこもった声で、リーヤに声をかけたリルア。リーヤは戦慄し、全身に鳥肌が立った。

「さぁ、片付けに入りますか!」

「うぇ、多いな・・・」

 

 

 

その後、リーヤは高速で神殿から抜け出し、守矢神社に庇護を求めたが、即座にリルアに捕まり、神殿へ送検・もとい連行された。

 

 

 

 

東方人鬼襲、此れにて終了ッ!

話を終わらせるのは何気に難しいし気がひけますな。

もしかしたら、この話が次に続くかもしれません。いや、その確率の方が大きいかなぁー。

毎日更新したいし、画像をはったりしたいが、パソコンが死んどるから無理なんだよなぁ、買い換えて欲しい。はぁー・・・。

じゃあこの辺で。次もお楽しみなのですっ!!