東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

東方乱千天 ~五~

五章・知らない、と言えば嘘だった御免なさい。

 

「そういえば、彼女を最近見ないなぁ」

魔法の森、入り口近くにある『香霖堂』の店主、森近 霖之助が静かな店内で口を開いた。

「彼女?一体誰なんだ?」

商品の上に座って休んでいるのは魔理沙である。霖之助は以前は商品に座る度に魔理沙を咎めていたが、今は叱っても無駄だと確信しており、魔理沙の自由奔放っぷりを横目で見ていた。

「新聞記者の鴉だよ。僕はあの新聞が気に入っているからね」

「そういや、霖之助はあの新聞の愛読者だったな」

「・・・・・彼女は仕事熱心だ。遅れるとは思えないが、何かあったのか・・・」

そう言って霖之助は窓から外を見上げる。以前は文が飛んでいた大空には鴉どころか鳥すら飛んでいない。空で何かあったのか、と思う程の不自然さだった。

しかし、文が妖怪の山から降りて来ないのは、何かしら山に関係する事なのだろう。それだと自分の入る隙間はない。霖之助は思考を諦め、手元の本を読み始めた。

 

 

「今日はお買得だったわねー」

人里で買い物をし終えた霊夢は、ご機嫌よく博麗神社の麓まで戻ってきた。

博麗神社は山の頂上に有る。神社まで行くには長い階段を登らなければいけないので、余程熱心な信仰者以外、つまり普通の人は此処まで登ってこない。

霊夢は慣れた足取りで階段を登り始める。

「でも、春菊も白菜も豆腐も今日は特売だっただなんて、今日買い物に行って正解だったわね~」

改めて自分の勘の良さに頷く。お陰で今日は久し振りに鍋を使った贅沢な料理である。以前の灼熱天下のせいで秋なのに十分な寒さを感じる。鍋にしてもなんら支障は無いだろう。

霊夢が階段を登り終えると、直ぐに博麗神社が見える。手前には大きな鳥居が有る。よくこの上に鬼とか天狗とかが登っているが・・・。

「最近、文を見なくなったわね・・・・・」

以前は幻想郷の空を飛んでいた為、この博麗神社からよく移動していた所を見かけていたが、思ってみればここ数日、飛んでいる姿を見ていない。 

まぁ文が動けない事は、妖怪の山に何か問題が有るのだろう。ならば自分の出る幕ではない。そう思って霊夢は視点を空から神社に戻し、

「・・・・・ん?」

鳥居の下で仰向けになって倒れている人物がいることに気付いた。見た感じ天狗に似ているような気が。

否。

「文?何で仰向けになって倒れてんの?」

霊夢が声を掛けると、仰向けになっている新聞記者はそのままの状態で口を開いた。

霊夢さん・・・・・はい、清く正しい射命丸です」

「答えになってないわよ」

と言って文に近付く霊夢。文の頭の方まで移動した霊夢は、しゃがんで文の顔色を見た。文も霊夢を見るよう顔を少しだけ動かす。

「うわっ、どうしたの!?かなり顔色が悪いけど」

「いやぁ、色々ありまして」

と軽い口調でだらだらと汗を流す。その量は尋常ではなく、さながら滝かと思える程である。

「とりあえず、神社の中に運んでくれませんか?出来れば風の当たらない所で」

 

霊夢は文が言った通り、文を神社の中まで運んで、風が入らないよう襖を閉めて布団を敷いた。文は布団の中に入ると、ありえないスピードで顔色が元に戻っていった。

「すみません、手間取らせて」

「良いわよ、別に。で、どうしたの?風が当たらなかったら気分が良くなるって、天狗が風に当たらないって大丈夫なの?」

「今、幻想郷に吹いている風は天狗にとって毒なんです」

「へ?」

文の口から放たれた言葉を聞いて、素っ頓狂な声を出す霊夢。文は霊夢の反応を見て、やはりと溜め息を吐いた。

「やっぱり知らなかったですか。博麗の巫女すら気付かない隠密な異変は幻想郷が外界と隔てられて初めてです」

文は呆れつつ此れ迄の出来事を話し出した。

 

時は一刻程前。文は何時も通り、新聞のネタを探す為空を自由に飛んでいた。

だが、日が明けて直ぐの時間。何時もより濃い匂いの風が吹いたと思うと、突然気分が悪くなり、たまたま近くにあった博麗神社にまで降りてきた。だが、博麗神社は幻想郷の風が強く吹く場所。体調は秒刻みで悪くなり、遂に立てられなくなり仰向けに倒れてしまった。

 

「風が原因って事?」

「恐らく。触れたくない風は初めての体験ですよ」

此れがいい記事になりそうです~、とペンを取り出して記録していく文。どうやら何時もの調子に戻ったようだ。霊夢は調子の変わり様に肩を落としながら、棚から博麗神社お手製の御札を取り出した。

「やっと博麗の巫女が出撃ですか」

そう言われた霊夢は当然のように返答する。

「えぇ。異変を解決するのが巫女の生業だから」

「此れが異変だと感じているのは他に居ないと思います。解決したら早速取材ですね、異変側と貴女に」

「ハイハイ」

文の取材を受けるのはもう慣れている。霊夢は襖を大きく開いて、元気よく空へ駆けた。

 

 

―――――のは良いが、風を操るのは天狗の十八番で、特に此れと言った宛も無い。とりあえず霊夢は、最近の異変に関与し、何か知ってそうな紅竜玉神殿に行ってみた。

「あ、霊夢。どしたの?」

「白夜。ちょっと異変が起きてね」

あー、と白夜が冷や汗をかいて明後日の方向を見やる。霊夢は白夜の不自然な反応に疑問を抱き、白夜が見る明後日の方向に立ち塞がって問う。

「何か知ってるわね?白夜、教えて」

詰め寄る霊夢。白夜は仰け反りながら、観念するように両手を挙げた。

「えっと・・・・・、此処から盗られた魔導書が、もしかしたら・・・・・」

「それは今何処に?」

魔理沙が淵谷に預けたって言ってたから、羅千天邸にでも行ってみたら?何か知ってるか

「分かったわ行ってみる」

霊夢は刹那的な反応速度で飛び去っていく霊夢。白夜はその背中を遠くの出来事のように見送った。

 

 

 

 

いやはや凄い急造仕様って感じますねぇ。いや御免なさい。急造なんです。

ネタが足りず、右往左往した結果が此れだ!読者様方に申し訳ないだろ!

と思ってます。

異変がやっと本格始動しましたが、今一実感無いですよね。自分もですが。

効力が天狗だけって、自分も執筆しながら可笑しいと感じてました。あと、文の霊夢に対する口調って此れで良いのかなぁ。気になる。

まぁいいか!

では、このへんで。