東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

東方乱千天 ~閑話・壱~

番外編1・他の世界にて。

 

―――――幻想郷で、奇怪な異変が起こり始めた頃。

キングアトラスは、紅竜玉神殿をほったらかして、久し振りに里である『他の世界』の一国家、通称【帝国】に帰っていた。神殿で大人しくしとかないといけないという、主祭神の立ち位置を完全無視して。

静かに静かに、帝国の誰にも気付かれないように。

 

・・・・・確かに、そうしたつもりだが。

・・・・・・・・何処で道を踏み外したのやら。

 

 

 

「何で帰ってこれたんですかッッッ!!」

帝国にこっそり帰ってきた瞬間、部下に目の前で待ち伏せられ、帝都に強制連行された上に何故か、怒られていた。キングアトラスは床に正座させられ、長い長い説教を受けている。かれこれ1日位。

「・・・・・・・・いや、なんでって」

「この世界と幻想郷の境界は、私が簡単に突破出来ないように丁寧に丁寧に繊細に繊細に手を加えていったんですよ!? 態々幻想郷と交えた条約の為に・・・・・なのにッッッ!!」

キングアトラスは、国家の主祭神であり、国土防衛の為に存在する通称【帝国軍】の最高司令長官、つまり軍のトップである。易々と正座させれる人物は、本来皇帝以外に居るはずがなく、居てはならない・・・・・・のだが。

目の前の人・・・・・否、鬼はその権力差を無視して、自分を正座させている。

「閣下は幻想郷から勝手に来れないんです! もう一度言いますよ、此方には来れないんです!! というかあの馬鹿馬鹿しい異変を起こした罰として陛下もろとも反省してもらうため幻想郷にいてもらう事にしたんです! ・・・・・嗚呼もう、此れじゃ本当に私がやってきた事が無駄に成ったじゃないですか!!」

 

―――――サヨリアルカディア。【理想郷】の異名を持つ伝説の土地がその名にある、帝国一番の苦労人である。

彼女が苦労人と呼ばれる所以。その理由は彼女の職柄にある。彼女の職は、

帝国議会最高議長。数百人もの帝国議会議員を束ねる議会最高権力者。

帝国軍参謀長官。千万以上の帝国軍の司令系統を管理し、全体へ命令する絶対司令官。

帝国武神群筆頭。二百柱以上もの武神を擁する帝国軍最強戦力をまとめあげる大賢神。

同時に兼業してはならない、三つもの最大権力を保持する帝国の顔と呼べる鬼。

更に、彼女が持つ力は何も権力だけではない。

世界の存在の境界を操り、帝国本土を異世界から隔絶して帝国を守護する【境界の覇者】でもある。相手を問答無用に隔絶された世界に封印、又は新しく世界を作り出す事も可能である。

だが、此れだけの権力と能力が有ろうとキングアトラスを叱る事は不可能。キングアトラスの特権は、それらを全て上回っている。

だがサヨリは問答無用。キングアトラスを正座させ続けている。

 

キングアトラスは額に冷や汗を浮かべて言い訳する。

「ってなぁ、俺も越えれると思って越えた訳じゃないんだぞ?金と酒と肴が無くなったから、ちょいと里帰りして調達しようと思ってただけだ」

「三日おきに宴を開いてたら当然でしょう・・・・!!」

戦慄くサヨリ。キングアトラスがこの世界にこっそり帰ってきた瞬間、サヨリが爆走して自分を縛り上げ、私室まで引きずってきた。もう少し自分を歓迎してくれても良いんじゃないかと思う。

「よくありませんし思いません。自分のやったことをちゃんと反省して下さいッ!!」

サヨリはガックリと肩を落とす。大方説教に疲れたのだろう。

「態々紫さんに手を借りてまで此方に来たこと位知ってます。はぁぁ~・・・」

サヨリは懐から一つの包装されたビスケットを取りだし、キングアトラスに渡した。

「何だこれ」

「酒と肴しか飲み食いしないから常識がこんな物も知らないんですよ。ビスケットです、叱る為といえ、特権を無視、1日束縛して申し訳御座いませんでした。如何なる罰則も受ける覚悟です」

「あぁ・・・・・、いや大丈夫だが」

御詫びの印のように出されたビスケット。キングアトラスは其れを直ぐ様開いて食べる。肴に比べて味は薄いが、パリパリ感がたまらず直ぐに食べきってしまった。

キングアトラスは面構えを直して、サヨリを見る。

「で、どうだ? 帝国皇室と俺達が無しで国政は」

「全く支障有りませんよ。とくに議会で誰かとは言いませんが軍部の喧しい神様が居ないお陰で」

自分じゃないか、と内心で突っ込むキングアトラス。とはいえ自分のお陰で議会が成立しない事もあったと思う。やはり軍部が政治に顔を突っ込んではならないか、とキングアトラスは反省。

「いい機会です、一度帝都をぶらぶらして来てはどうですか? 民は閣下の偶像しか見たことがありません。別に降りたって何の支障もないと思います」

「う~む・・・・・」

良い提案だ、キングアトラスは仮にそうしたとして考える。いっそのこと、帝国の東の方に出向いて溜まっていた問題の解決と、【蒼き神王】に挨拶しとくのも良いかもしれない。

「むしろ、帝国議事堂に居てくれる方が厄介なので。帝国軍上層部には私が言っておきます」

・・・・・と、サヨリの口から全ての思考を無残に破り捨てられる一言。

「お前、本心というのは隠していた方が懸命な事もあるんだぞ」

「口が滑りました」

「嘘つけ」

キングアトラスは苦笑し、よっこらしょ、とゆっくりと立ち上がった。

「まぁ、滞まってた問題が更に増えてるだろうからな。其れの消費してくるわ」

「問題? 東の辺境に群れを成した竜種の討伐などですね。議事堂から去ってくれるのは幸いで・・・・・おっと口が滑りました」

「絶対にわざとだろ!?」

「いいえ。久し振りに閣下が戻ってきて愚痴を言いふらしたい訳ではありません」

「・・・・・・何か、俺お前に悪い事したっけな?」

「してますよ。年がら年中、年中無休で現在進行形です」

サヨリの笑顔に尋常ではない怒気が含まれている事を感じたキングアトラス。これ以上この空間に居ては命が危ないと本能的に考え、そそくさ部屋から退出する。

「早いうちに解決してくるわ、ほんじゃぁ~」

 サヨリの笑顔を見られなくなったキングアトラスは、逃げる様に廊下を走り、かなり広い帝国議事堂から脱出した。議事堂から出たのに、サヨリのものと思われる視線を、暫く浴びたキングアトラスは、今後から議事堂で事を起こさまいと心の中で誓う。

キングアトラスはそのまま、東の空に飛び駆けるのだった。

 

 

 

 

 

いきなりですよねぇ。自称『帝国』、他の世界での話。しかしながら、何時も幻想郷の事を小説にするのもどうだ! と迷った挙げ句に投稿。話は東方と全く関係がございません。最初に言っとくべきでしたが、Uターン構いません。

昔の自分の小説を見ていたら、大昔の設定のものが出てきたので、其れを活かそうと思った所存です。表現能力云々より、世界観が自分にしか理解出来ないのもどうかと思いまして。

おまけに、サヨリアルカディア、というキャラは自分の中でも最古参の部類に入ります。

番外編は、帝国の世界観の一部を公開しながら進めようと思ってます。ま、最優先は本編。本編の合間とか、ネタが詰まった時に書くので、番外編・弍は暫く出てこん、と考えておいて下さいな。サヨリを何時か幻想入りさせたいし。

ではでは、このへんで。次回をお楽しみに。