東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

東方乱千天 ~七~

七章・もう、先先話が進んで霊夢がついていけないよ。

 

「羅々がやられました」

「酒は何処じゃ? 私は今酒が呑みたい」

「流石私の子孫。妖怪には容赦無いわねー」

「・・・・・・・・風里様、亡命様、人の話を聞いてますか?」

風が吹きかう幻想郷の地上で一番高い所。『妖怪の山』の頂きで、異変を起こした三人はくつろいでいた。

否、くつろいでいるのは二人。淵谷だけは地面に刻んだ紋章の上で、般若心経のような長い呪文を唱えている最中であった。呪文を唱える、淵谷の足元にある紋章から時計回りに、匂いの濃い強風が吹いている。その匂いを吸うと人間ならば軽い脱力感に襲われるだろう。

だが、天狗だけは違う。この風に少しでも触れれば、嘔吐感、強い脱力感、酷い頭痛に見舞われ、長い間浴びれば昏倒する。そんな危険な風を、淵谷は脂汗をかきながら必死に生産している。

「聞いてないわ。私は博麗の今代巫女が来るのが楽しみだから、そっちの事は飽きちゃった」

と、亡命は東の方向を見る。博麗の巫女が神社から来るなら、当然東の方向からやって来るはず。勿論、根拠は無い。どうせ近付けば直ぐに分かる。

「まぁ良いですよ。でも、風里様が地下のあれを危険視していたとは。正直気付いていなかったものかと思ってました」

淵谷は風里を見る。風里は先程までは遊びの様におちゃらけていたが、先程から目を閉じて意識を何処かに集中している。

「当然じゃ。彼の者が一旦地上に出れば、結界が崩壊する危険も有る・・・・・。だからここの神にも協力してもらうのじゃ。のぉ、諏訪子」

風里が目を開き、横目で守矢神社の奉納箱が有る方向を見る。そこには縄で縛られてうる洩矢 諏訪子その人が座っていた。

「彼の者はお前と私に縁がある強者だ。地上に出れば、復讐念そのまま我々を襲うだろう。そうなれば、神霊であるお前でも、大妖怪である私でも命が危うい」

「分かってるよ。だからって縛る必要性は無いと思うけどね」

「其れは、縛っとくと言った亡命に文句を言え」

「あーあー聞こえないわー。あぁ、早く巫女来ないかなー」

「凄い棒読みですよ亡命様。説得力が有りません」

この異変を起こしたのは先を殆ど見ない風里で、言い出しっぺもやんちゃ極まりない風里だ。だが、この異変は明確な目標が決まっており、淵谷と亡命は其れを実行する手助けをしている。淵谷は元の異変である怪風を起こし、『妖怪の山』に住む多くの妖怪を足止めする役目をおった。特に、山の中でも一際大きな力と組織力を持つ天狗達を外出不能にまで追いやる。山にスムーズに侵入して、各地の要所にある術をかけ、後の計画の保険をかけた。

亡命は博麗の巫女を足止めする。亡命とて、巫女に負けるという根本的ルールには逆らえない。但し、出来るだけ長い間耐えてもらう。

風里は、守矢の連中と協力して、地下に眠っている彼の者を討伐する。

「結界が出来上がって直ぐ、幻想郷が完成して間もない頃に一回、眠りから覚めたんだよね?」

「そう。あの頃には初めてやって来た吸血鬼や私、亡命や当時の巫女に助勢してもらい、上手く撃退できたが・・・・。私も亡命も、当時のような力はもう持っていない。だから縁がある、守矢の三柱に助勢を依頼しようとしたが」

守矢神社に、神奈子と早苗が居なかった。諏訪子によれば、現在外出中。直ぐに帰って来るとは言っていたらしいが、全く帰って来ない。仕方なく、理由を言う前に諏訪子を縛り上げ拘束し、残りの二柱をおびき寄せようとしている。

「正直、この戦力では・・・・・奴。八岐大蛇には勝てない」

地下に眠る脅威、八岐大蛇。風里の口から出てきたこの単語が周囲の空間に響いた瞬間、鳥の鳴き声が不自然に止まり、周りの空気が重くなった。

八岐大蛇、それは日本神話にも登場する八つの頭を持つ巨大な妖怪である。その動く姿は山が動いているかと思うほどで、背中には樹木すら生えていたという。

出雲国である家族の娘を食っていたが、素戔男尊の罠にはまって酔いつぶれ、文字通り八つ裂きにされた。神話では此処で万歳終了だが、その後八岐大蛇の巨大な妖力は地下へと浸透。竜脈のままに妖力は地下を移動して、『妖怪の山』地下まで偶然移動、偶然其処で移動が止まった。

地下で妖力が形を成して、一度復活した八岐大蛇は、出来て間もない幻想郷を滅茶苦茶にしたという。

「元々、あの素戔男尊ですら正面からまともに戦えないと判断した。前回我々が倒せたのは、奇跡としか言い様が無い」

諏訪子の遠い祖先神であり、風里の祖父にあたる素戔男尊。荒々しい性格で知られ、その問題児っぷりは高天原でも指折りだったと聞く。

「ま、前の復活は素戔男尊に討伐されて二千年も三千年も経過してたから。其れに比べて今回はたったの千年ちょっとだし、上手くいけば大丈夫よ」

亡命は場の空気が少しだけ軽くなったのを感じ、よっこらしょ、と立ち上がった。

「さてさて、今代巫女さんもやって来たし! 私は行くよ? ・・・・・・、八岐大蛇、任せたわ」

高速で山の麓へと降りる亡命。それを確認した淵谷は、術を止めて亡命が向かった反対側の山の麓の方向を指差した。

「風里様、神奈子さんと早苗さんは諦めましょう。早いうちに山を降って、早めに手を打つべきです。幸い、天狗達はもう暫く動けないと思うので」

其れを聞いた諏訪子は重い足をあげて、前の方で縛られた手を軽く振った。すると諏訪子の全身を縛っていた縄が自分からほどかれ、ハラハラと地面に落ちる。

「確かに、この幻想郷を失えば妖怪達の住み所が無くなってしまう。私らの信仰も一緒に」

「そうじゃな。直ぐに下山じゃ、勢力を結集して八岐大蛇を討つ」

 

 

 

「・・・・・・・じゃぁ、あんたが私の遠い遠ーい御先祖様ってこと?」

「そそ、そゆこと」

「えー・・・、嘘っぽい」

『妖怪の山』の麓で、霊夢は自分を待っていたかのように浮いていた亡霊を発見した。近付いて事情を聞くと、まずこの亡霊は自分を足止めする為に此処に居るらしい。

更に、亡命は元々は博麗神社の巫女であったということが判明した。

「嘘も真実も信じるのは霊夢の自由。でも、羅々を問答無用に襲うのはどうかと思うわ」

「異変を起こした奴の家に住んでたのが悪い」

即答した霊夢に、亡命はやれやれと溜め息を吐いた。心底呆れられたのだろう。

「流石にそれは酷いわね。私なんて現役時代は関係ない妖怪には喋られてもないわ」

霊夢は手に持つお払い棒を利き手に持ち変えて、何時もの仕事中の空気に戻った。

「・・・・・それ、畏れられているんだと思うけど。で、私の足止めをするってことは、当然倒さないと退かないわよね?」

霊夢の目から放たれる圧力、そして霊夢の周囲に発現する陰陽玉。亡命もその空気に応え、半分おちゃらけていた感情を抑制する。

「勿論。まぁ飽きたら止めるけど・・・・・、私を飽きさせないで、ね? 『願望・花より賽銭』!!」

 

 

 

 

 

 

完成よ。ちゃんと週末に投稿出来たし、自分のタイミングとしてはグッドだと思います。

さて、もう月末。ということは、2013年も近いうちに終わりますねー。じゃ、もうすぐはてブロ一周年? なったら報告します何となく。

あー、大掃除だー・・・。面倒ですが、大掃除をサボって神様が来なかったら一家の一年が不幸まみれになってしまうので、サボらず頑張ります。

でも、大掃除は秋くらいにやった方が良いらしい。まぁ良いよね。風流だもんね。大晦日は大掃除だよね。お約束だよね。

じゃぁこのへんで。次回もお楽しみにー。

年末なので、此れから更新が遅れるかもねえ。