東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

東方乱千天 ~八~

八章・出現・・・・・・、圧倒的戦力差。

 

「く・・・・っ、卑怯よ、こんな弾幕!!」

霊夢が手こずる弾幕。其れを放っているのは、山の麓で待ち受けていた自称元・巫女の亡命。

霊夢弾幕センスはどのように密度が高い弾幕でも避けきる。元巫女である亡命はそれを知っているので、博麗の巫女の弱点を突くような弾幕を展開した。

『願望・花より賽銭』の弾幕、そのメインを飾っているのは、

賽銭箱に投じられるような小銭であった。

しかも、一発一発の錆び具合が微妙に違い、大きさも本物と殆ど同じで、嫌な程リアルさが醸し出されている。避ければ避ける程、賽銭のような弾幕が背後を過ぎていくのが、霊夢に精神的に大きなダメージを与えていた。

「よりによってお金みないな弾幕をチョイスして・・・・・小賢しい!!」

「だから巫女の弱点なんてわかるのよ、信じてないみたいだけど元巫女だし? ほら、今本物のお金を投じたよ」

「ぐ!?」

ちゃりーん、と言って茶化す亡命。対して霊夢は、目を光らせて投じられたというお金を探した。だが、見た目が殆ど変わらないので、本物のお金を弾幕の中に入れられても取りにくい。更に、亡命はその位置を理解しているだろう。仮に見つけても、狙われるに間違い無い。

道端に落ちていたお金を見つけても、目の前に交番があって拾えない感覚、と言えば分かりやすいだろうか。お金に鋭い博麗の巫女に対して、精神へのダメージでこれ程大きいものは無いだろう。

「でも・・・・・これが全部本物だったら良いのにねぇ」

弾幕を撃つあんたが言うな!!」

 

 

博麗の巫女は亡命に任せ、交戦している麓とは反対側の麓へ降りてきた風里達。地殻の変動が、此処で一番大きい。八岐大蛇が復活し、地下から這い出てくるのは、この近隣といって良いだろう。なんせ、八つの山と谷の大きさを持つ化物だ。一度出てくれば簡単に居場所がわかる。

「紫には『草薙の剣』を探してもらうように頼んだが・・・・、その望みもほぼ潰えたと言ってよい」

大きな溜め息をついた風里。唯一といって良い希望がほぼ潰えた状況を考慮すれば、嫌でも溜め息が出るだろう。

『草薙の剣』とは、素戔男尊が八岐大蛇を討ち取った時に、尾から出てきた名刀の事である。。八岐大蛇の回りに霧が立ち込める原因とも知られ、恐らく八岐大蛇が活動状態でも大きな効力を発揮するであろう唯一無二の剣。

外の世界では『三種の神器』の一つとして、何処かの神社に奉納されているらしい。外の世界に関しては、自分より紫の方がよく知っているので、全て紫に任せた。

しかし、神社という聖域に奉納される強力な神器である。神社の規模が大きければ、聖域が妖怪を拒む力も大きくなる。仮に大社、神宮レベルになると、如何に神隠しの妖怪といえど侵入すら出来ない場合が多い。仮に侵入出来ても、本殿まで紫がもつかどうか。

「しかし風里様。此処幻想郷は今、以前大蛇が復活した時に比べて数多の強力な妖怪が居ます。彼女らに協力してもらうという手は無」

「無いよ。妖怪達は普段『楽しむ』事をモットーにしてる。不穏に思うか勝手に来るか、何かの能力で召集しない限りはね」

淵谷の質問に即答した諏訪子。諦めなって、と軽く両手をふる。

「う・・・・・っ、そうですか。申し訳ありません、蛙の神様」

苦笑いしながら謝る淵谷。諏訪子はその態度よりも、淵谷が吐いた台詞にムッとし、

「私は諏訪子。蛙の神様じゃないよ。蛙は好きだけど」

と、訂正する。そんな一部始終を横目で見ていた風里は、呆れたように北の方向を指差して言った。

「そろそろ茶番も終えよ。地下の力が膨れ上がった、直ぐに来るぞ」

 

 

世界が、震えた。比喩ではない。幻想郷の隅から隅まで、全ての生命が突然の激震に肝を抜かれた。外の世界すら例外ではない。地震という自然現象として、外の世界にすら影響を出した。

「来るか・・・・・!!」

地平線の向こうに、浮かび上がるであろう巨体が姿を・・・・・・、

・・・・・・・・・・。

現さない。

「あれ? 風里様、大蛇出てきませんよ?」

「む? 可笑しい、確かに」

八岐大蛇と思われる気配は確かに地上に出てきた。だが、どれだけ目を凝らしても見当たらない。

「ツチノコ位の大きさだったら良いんだけどねぇ」

諏訪子が茶化すように言う。正にその刹那。

背筋に、強い殺気がはしった。

「!?」

その殺気の方向は、今の今まで見ていた方向の、完全に間反対。山の頂上から降りてくるように、彼女は来た。風里達は完全に意表を突かれ、一撃見舞われる事を覚悟して振り向き、

二度目の意表を突かれた。

「・・・・・・・ちっちゃいな」

「うん、ちっちゃいね」

「ちっちゃいんですか?」

背丈は帽子ありの諏訪子に近い。諏訪子よりも少しだけ背が高い程度だろう。だが背が小さいのに変わりは無い。とても幼く見えた。更に、八つに結んでいる髪も長い為、一層背が小さく見える。

だが、その華奢な体に似合わない、恐ろしい殺気は、なんとも異常に感じられた。

以前のよりも大分弱体化しているにも関わらず、圧倒的と感じさせる戦力差。この状態での勝率が極端に低い事を瞬時に察した風里は、八岐大蛇を挙動を見つつ声を掛けた。

「・・・・・・、淵谷」

「はい?」

「まさか・・・・・・、という可能性だが。草薙の剣が、幻想郷に有るやもしれん。其れを探しに行ってくれ」

圧倒的。此れでは風里が居ても戦局は大して変わらないだろう。風里は淵谷を逃がす為に、このような事を言ったのだ。

「しかし、私が抜ければ御二人の負担が」

「いいよ。八岐大蛇は此処で足止めするから、早く草薙の剣を。・・・・・あれが無いと正直無理」

風里と諏訪子が力を合わせても勝率が低い。其れは二人の口調から判りきっている。淵谷にとって、それは不思議と説得力があった。

「・・・・・・、分かりました。道中で、妖怪に応援を呼び掛けます。――――ご武運を」

天狗のスピードで、即座に戦線離脱する淵谷。その背中を確認した風里は、軽い深呼吸をしてから八岐大蛇を睨んだ。

「目標は、撃退。じゃが、それは恐らく無理じゃ。楽観主義の妖怪が危険を察知するまでくたばるなよ、諏訪子」

「勿論。そう言う風里もね。――――土着神の頂点の実力、見せてあげよう」

「無論だ。母の名を賭けて誓おう・・・・・!!」

 

 

 

 

 

ごめんなさい。堕華です。

あ、堕華ってのは、「堕ちた翠の華」の略称で、自分でもよく使います。

うんにゃ、そこはいい。九と凄い間が有りましたよね。年末年始で忙しいとか、言い訳に成りませんね。ごめんなさい本当に。

諦められとるかも・・・・・・、しれない。「読ませる側」として、こんなことあっては有りません。今後気を付けていきます。

では此処等辺で。次回お楽しみに。