東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

白夜との出会い【終末の詩】

警告・これに東方が関係するのはあまり無い。

というか今までの小説と桁違いに長い。

時間が有るときにだけ、読んで下さい。

 

 

 

「装甲の塊の戦車大隊、帝国武神群第二位神隊、神討兵器を編入した統合機械師団を相次いで全滅・壊滅に追いやった正体不明の侵攻者。何者かと思って来てみれば・・・・・、まさか土着神とはな」

キングアトラスが口を開く。その先に居るのは、九尾の狐の容姿を持ち、着物を着ている一人の土着神だった。

見ただけなら珍しい、で終わるだろう。しかし、その土着神の回りに散らばる数多の兵器の残骸が、異常の雰囲気を醸し出していた。

本来、土着神は一帯の範囲で信仰される、全世界に比べれば全く知られてないような神霊である。信仰の量・質によって力が左右する神霊で、信仰する範囲が狭い土着神が、ここまでの力を持つとは考えにくい。

「何でだよ、衛星軌道上に配備した光線兵器【天の光】の一撃を避けてもないのに無傷。その上眼力だけで吹き飛ばすとか、土着神の限界を格段に超えてるって」

【天の光】の一撃は、山一つを消滅させる。結界も何も張っていないのに、それを受けて無傷の生命とは、信じがたい事である。

「なぁ? お前は何なんだ?」

キングアトラスが問う。頭にある狐の耳で其れを聞き取った土着神。しばし体の動きを止めて返答を考えるが・・・・・。その口元に段々と不気味な笑みが浮かんでくる。

悪魔とも天使とも言えるような笑みだった。

「華散る郷の王。華翠玉 白夜」

「・・・・・本当に存在してたのか、最強と語られる武神が」

目の前に佇む土着神が、世界に残る【真なる武神】の伝承の原点。一柱にて神群すらも凌駕するという、天上天下で最強と云われる武神だと、キングアトラスは土着神から溢れる力から確信した。

 

世界で、まだ土着神が存在していなかった時代。一匹の狐が妖力を持ち、幾星霜の時を経て妖怪と神獣の頂点に達した。

研ぎ澄まされた妖力は、ありとあらゆる神霊を超え、その実力故に多くの妖怪に軍神・武神として信仰された。その結果、絶対的で圧倒的な力を得、妖怪の神として君臨したという。

 

とはいえ、本当に存在するとは思わなかった。数百年前から妖怪達と戦争を繰り広げる帝国、そして世界中への牽制だと考えられていたからである。【真なる武神】について世界に残る文献も、全て妖怪によって書かれているので、尚更。

「しかし、文献に残るそのままの力なら、【帝都要塞線】は兎も角【月界神殿】の結界すら砕くと。冗談じゃない、天が地上になる方がまだ信じられるね」

【月界神殿】を覆う結界。そもそも【月界神殿】とは、世界を遥か高空から監視する神々の神殿で、全世界でも屈指の堅牢さを誇る要塞だ。それを守る結界は、帝都全体を覆う至上結界【全知結界】に次いで固い結界。とくに、原始的である間接打撃に対する固さは、圧巻するしかない。キングアトラスが本気で殴っても、砕けるとは思えない。

なので、天と地上がひっくり返る方が有り得る、と言ったのだが。

「ええ、砕けるわ。今からやってこようか?」

笑顔に似合わない脅迫。白夜という土着神は簡単に言ってくれるが、仮に【月界神殿】が陥落すれば、世界中に与える影響は計り知れない。

善意の塊と自称する神々が統治する要塞だ。地上に居てはいけないような犯罪者等を排除して回っているため、世界中の治安維持を努めていると言っても過言ではない。それが無くなれば、帝国内にも極悪人が蔓延ってしまう。

「いやいい。気配からして出来そうだしな」

上手く誤魔化せれば良いが。そう思いつつキングアトラスは言った。

「しかし、お前は何処に向かってるつもりだ? この方向は帝都しかないぞ」

「その帝都を襲うのに、帝都の方向に向かって歩く何が悪い?」

またも当然の如く、少し呆れたように言う白夜。現に、白夜の行動を抑止させる為に派遣させた部隊は相次いで壊滅し、白夜が通った道には何も残っていない。立ち塞がる有象無象を蹴散らして、何処かへ侵攻しているとは思ってはいたが。

まさか帝都に直接攻撃とは。最悪の想定である。

仮に侵攻されれば、尋常ではない被害を被って帝国が分裂するのは火を見るより明らか。

帝都に住む一般人も、白夜の気紛れで虐殺されるだろう。帝国上層部の関係者や皇室も無事で済むとは到底思えない。

「帝都に侵攻? 止めといた方が良いぞ。【帝都要塞線】の堅牢さは、例え天の軍隊が千万で来ようが崩れる代物じゃない。早々に引き返して元居た所に体操座りして念仏唱える方が身のためになr

「私一人と千万の天軍、どっちが強いと思ってんの?」

その一言で、キングアトラスは後の言葉を口に出す事が出来なかった。その佇まいが、如何に超常的な存在なのかを、改めて思い知らされる。

―――――――こいつならやってのける。帝国に百分の一も勝利の可能性は無い。圧倒的侵攻者に攻められた文明は、どんなに繁栄してようが崩壊する。過去にも、歴史は其れを物語っている。

この場合、白夜が圧倒的侵攻者。

・・・・・・・誰かが、こいつを止めないとな。

「仕方ねぇなあ、俺は一応帝国に奉られる神様だ。帝国の関係者である以上に、お前を止める理由が無い」

「・・・・・・そ。なら」

白夜は片腕を横に、肩の高さまで上げる。その動作に反応するかのように、晴天だった空に黒い雲が広がっていく。更に、白夜の足元にも半径三メートル程の小さな紋章が浮かんだ。

白夜は嘲笑にも似た笑顔を見せて、

「今までのよりも奮闘してよ?」

恐ろしい殺気と共に、開戦宣言をした。その刹那に轟く雷音。稲妻は遥か上空で、宛ら龍のように唸り、

 

「『絶天符・プロトンサンダー』」

 

白夜の召令で、大地を焦がす勢いで落雷となって地に降り注いだ。その数は千、或いは万。実際はそれよりずっと上。大概の生物は本能的反射よりも先に、体を万もの雷が降り注いで跡形もなく蒸発するだろう。『神鳴リ』と云われ畏怖される万の雷撃が、避雷針に突っ込むようにキングアトラスに降り注いで――――――

「眩しいな、全く」

キングアトラスから、漏れるように吹き出す業火に遮られ消滅した。業火はキングアトラスを狙った雷が無くなった事を確認したかのように、陽炎を残して薄れて消える。白夜はキングアトラスの防御行動に関心を示して腕を組む。

「さっきの一撃で、今までのは二柱を除いて全部戦意喪失してたけど」

「これじゃあなぁ、あのバカ二人以外じゃ動くことも出来んだろ」

自分でも直撃すれば、無事ではない程度のダメージを受けるだろう。兵器の機器系は一瞬で機能停止し、次の一撃で動く間もなく残骸となった、と思うのが正しい。ちなみにバカ二人というのは、帝国武神群第二位神隊の二柱の事で、後の事を考えないど阿呆コンビとして有名だった。今は帝都の大病院で治療を受けている。二柱とも、実力だけなら申し分無いのだが。

「これが本気だとは思わんが、こんなんじゃ【全知結界】は傷一つつかんd

「『絶天符・マグマオーシャン』」

「おお!?」

此方の言動を完全に無視し、白夜は紋章から熱も質量もソックリなマグマ・・・・・っというか本物を召喚し、キングアトラスに向かって津波の如く放った。

「不意討ちとは卑劣な真似をねぇ」

キングアトラスは腰に挿された刀の柄を持ち、居合いの構えを取る。押し寄せる津波の一瞬の切れ目を狙って、

一閃。

津波は一撃の前に切り裂かれ、一閃による衝撃波は津波全体すらも押し返す。白夜は其れを見て再度キングアトラスの腕に関心し、

「はい」

着物の袖を振っただけで、押し返された津波を悉く霧散させた。

「・・・・・・・、は?」

キングアトラスは白夜の手に関心を飛び越えて絶句し、考察する。あれほどの質量を一体何処へやったのか。それ以上に、袖で軽く振っただけで溶岩も津波も蒸発するものなのか。即座にその考察を切り捨て、何だが自分の内の中に畏怖らしき感情が芽生えてきた・・・・・・気がした。

「最強の武神様は、自然災害の悉くは通用しないのか? ていうか、そうゆう能力を持ってんのか?」

「そんな便利な能力知らないよ。別に通用しないってのは正しいけど」

「・・・・・・・あらまあ」

大昔に、「俺より強い神は居ない!!」って豪語していた自分が笑えてきた。あれから確かに自分は強くなっている。帝国も比べ物にならない程強い国となった。だが、世界にはあらゆる生命を超えるラスボス的存在が本当に存在するのだと、確信した。

この土着神は俺を、殺ろうと思えば一秒も掛からずに殺す事が出来る。

実力の差は蟻と象。それ処ではない、蜜蜂と龍程もある。これでは【月界神殿】だけでは済まされない。【帝都要塞線】も秒単位で壊滅、【全知結界】もそう長くはもたない。

こいつが帝都まで来れば、帝国は完膚なきまで崩壊する。

実力で此処まで差が有るのなら、言葉で上手く誘導出来ないだろうか。キングアトラスは「実力行使」という手段を捨てる。

「しかし白夜。お前、なんでそこまで力があるのに、今まで帝国に攻撃しなかった? 攻めれるなら早いうちに攻めるのが当然だと思うが」

「う~ん・・・・・・・」

白夜は攻撃の手を止めて、考えるように天を仰ぐ。その動きに反応し、雷雲が割れて夜空が浮かび上がった。天には星が光っておらず、大きな三日月だけが佇んでいる。あの三日月が、【月界神殿】に唯一通じている道だ。

白夜は、顔を天に仰いだまま口を開く。

「帝国は、近年妖怪達との騒ぎ事を起こしてる。彼等は、私を奉り挙げてくれた張本人だ。私は奉られる引き換えに、彼等に力を授けてる。でも、情勢は最初から帝国側が有利。妖怪達が戦いでどれだけ死んでも、まぁ彼等が望んで引き起こした戦争だから、文句は言えない。けど」

白夜は一度目を閉じて、この戦争で死んだ者達へ短い黙祷を捧げる。そして、白夜がゆっくりと瞳を開くと同時。

白夜の足元から、地平線まで続く大きな紋章が展開された。紋章から放たれる光は辺り一帯、否、紋章が展開されている領域全てを太陽の如く照らされる。

「非戦闘員まで殺す理由が無いでしょ? 武器一つも持ってない、女子供容赦無く。どちらが残虐非道を謳える? 平和をもたらす為の犠牲が、妖怪には多すぎる。だから」

白夜が怒りを乗せた口調で喋る。先程までの余裕も何もかも関係無く、一人の奉られる神として、一人の妖怪として、一生命として人道性を訴えるその姿は、荒ぶる武神としてよりも、神々しい女神として見えた。

一拍間を入れる白夜。その一拍に、どれだけの思いが込もっているかは容易に想像出来る。白夜は、表情に怒りと哀しみを込めて口を開いた。

 

「だから、私は帝国を許さない」

 

天の雷と大地の溶岩によって焼き払われた、キングアトラスと白夜だけが居るこの土地に、美しい詩が響き渡った。その詩に込められているのは弔。戦火で失われた命を懐かしく、悲壮を歌詞として歌われる。それに魅了され、動きを止めるのもほんの一瞬。

詩が止まると同時に、地平を埋め尽くす大群の妖怪達が、地平線まで続く紋章から、白夜の召令に応えて召喚されたのだ。

「なッ!?」

キングアトラスですら驚愕の表情を隠しきれなかった。無名の妖怪から、聞けば身が震え上がるほど高名な妖怪。何よりも数が圧倒的。此れだけの妖怪が、召令に応えて召喚される事が現実で有り得るのか。此れだけの戦力が有れば、今の戦況をひっくり返す事も出来るはず。

白夜はキングアトラスの反応を面白がりながら、小さく口を開く。

「――――――【終末の詩】」

「は!? まさか、」

キングアトラスが、二度目の驚愕。白夜は外見の年に合わない妖艶な笑みをしながら二の句を語り始める。

「知ってるでしょ?【終末の詩】。世界の法則をねじ曲げて、死者を弔調とともに召喚する、召喚術の極めつけとも言える詩」

本来、【終末の詩】を知る者は居ない。【月界神殿】の神霊達が、その術を自由に行使出来るようになった時点で抹殺に向かうからだ。

死者を甦らせる。それは世界中の秩序を取り乱し、世界崩壊に繋がりかねない。

「私はこの妖怪達を、帝都に送る。これ程の妖怪が一気に帝都に雪崩れ込んだら、流石の帝都も無傷ではすまないでしょ?」

静かに、倩と事実を述べる白夜。

「でも、これでは私の人道性も疑われる。だから私とあなたで、ゲームをしましょう」

「何?」

此処で相手側から意見が出てくるとは。しかも、よりによってゲーム?

「私はこの妖怪の大軍を、帝都に送る。その事実だけは、絶対に変わらない。でも、帝都は必ずこの侵攻を止めるでしょう。それまで、あなたは私を止める為に、此処で足止めする」

たんたんと告げる白夜。その隣には、既に討伐報告が残る高名な鬼が鎮座している。これほどの実力を持つ妖怪が束でかかっても、帝都は大きな損害を被るが、確かに全滅しないだろう。

「あなたが生きてる間に、大軍が敗走、または全滅したらあなたの勝ち。私はすぐに戻って、妖怪達に全面降伏を促します。あなたが死んだら、私はそのまま帝都へ行く。流石の私も、召喚でかなり体力が減ったけど、私が加われば帝国は恐らく敗北する。さ、どう?」

意見として言っているように見えるが、目は笑ってない。その声音には強制力が有る。ここで断れば、四方八方の妖怪達と白夜が、一瞬でキングアトラスを八つ裂きにするだろう。

・・・・・・・もしかしたら、これで帝国が守られるかもしれんし。

「分かった。そのゲームに乗る。約束は守ってくれよ」

「勿論。私、今まで嘘ついたことないから大丈夫」

初対面の相手に言っても、それに意味は無い。だが、キングアトラスはその言葉を信じるしか出来なかった。

「決心したようだね。じゃあ、始めようか」

同時に、妖怪達の咆哮が辺りに響き渡る。それは、白夜とキングアトラスの、戦闘本番の戦いの合図ともなった。

 

 

 

「・・・・・・・ってことが有ったのよ」

「へぇ~」

「一部嘘っぽかったな」

博麗神社の境内で、三人の少女が腰を下ろして喋っていた。霊夢魔理沙、そして白夜である。

「で? そのあとどうなったの?」

元々、白夜の過去に興味があった霊夢から、この話が始まったのだ。話はだいぶ長くなり、話を始めたのは昼頃だったのに、もう日が暮れている。

「キングアトラスが生き残って、ゲームは私の負け。大人しく帰って、戦争も終わったわ。その後の色々な条約で、私がキングアトラス達と一緒に居ることになったの」

「そうだったのか。大分前の気温の異変で、あの神様がなんたらと言ってたから、気になってたんだよ」

霊夢が白夜の過去に興味をもったのも、【絶天異変】の、キングアトラスの一言が原因である。

「まぁ、もう遅いし。私はこれで帰るぜ」

「あら? 泊まってってもいいけど」

「いや、遠慮しておく。魔法の事で、ちょっと気になる事があったしな」

と言い残して、早々に魔理沙は黄昏時の空に飛んでいった。

「じゃあ、私も帰ろうかな」

すくっ、と立ち上がる白夜。ずっと座って話していたせいか、腰が少し重い。階段を少し上がって、博麗神社の奉納箱に千円程度の価値がある紙幣を入れた。

「お。魔理沙と違って気が利くわね」

「まぁ、そうゆう風に調教されたからねー・・・・・。じゃ」

 

 

この話には、実は続きがある。

白夜は帝都に入って直ぐに、白夜の力の根源である【荒魂】を、リルアによって隔離され、帝都の防衛結界の為に運用してしまった。これで、白夜は勝手に元の力を取り戻す事が出来なくなったわけだ。

白夜は昔話の帰路で、嫌な過去を思い出したとため息をついた。

 

 

 

 

 

 

やっと完成しましたよ。文字数だと、今六千二百?ものすごい規模になりましたぁ。

まぁ、長らく更新してなかった見返りというかなんと言うか。ご了承ください。

ずっと白夜の過去じゃ面白くないので、最後の最後に霊夢魔理沙を登場させてみた・・・・・・。おまけみたいなもんでしたが。

これで、白夜以下、自分のオリキャラにもっと興味が湧いてくれたら嬉しいです。