東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

東方絶天火 ~Evil deity of the far-off continent.1~

この頃、異常な程気温が上昇しだした幻想郷。その幻想郷の東の端にある博麗神社に住む博麗 霊夢は、何時ものように縁側でお茶を飲んでいた。

「今日も暑いわねー・・・・・・」

天照大御神に、気温を下げるように押し掛けてやろうか、とも思ってしまう程の暑さだ。これではあらゆる事のやる気が失われる。霊夢はいつも通り暇なので、打ち水でもかけようかと思い、スクっと立ち上がる。そのタイミングで、博麗神社の賽銭箱の前で不自然な物音がした。

「何? また誰かが来たかなぁ」

まず思い付くのは魔理沙だが、いずれにせよ確かめておかなくてはならない。霊夢はそう考え、打ち水よりも先に賽銭箱の方を見に行って。

「貴女が・・・・・・博麗、霊夢・・・・・・?」

と言って、ボロボロの一匹の妖怪が目の前で倒れたのを見た。

 

「ごめん・・・・・わざわざ手を取らせてしまって。頑丈なのが取り柄なのに、私」

お茶を飲みつつ、九尾の狐が言った。霊夢も、初めて見る妖怪である。だが、見ただけでも高い実力を持っている事が分かる。
「助けてくれて有難う。此処は・・・・・」
「博麗神社。知ってるようだけど、私はここの巫女の博麗霊夢。で、どうしたの?」
さらっと自己紹介する霊夢。九尾の狐は、少し混乱し、頭の中を整理する為にまず、自己紹介をした。
「ええと・・・・・、私は華翠玉 白夜(かすいぎょく びゃくや)。では、此処はやはり幻想郷・・・・・」
華翠玉 白夜と名乗った九尾の狐は、考えるように下を向き腕を組む。
「じゃあ白夜でいいわね」
「あ? ・・・・・ん、いいけど」
「詳しい事情を教えてくれる? あんたは外の世界の住人で、幻想入りした。でもなんでボロボロだったのよ」
霊夢の質問の内容を聞いた白夜は、頭にある狐耳をピクッと反応した。白夜は霊夢の顔を見て、深刻そうな声で語り始める。
「いえ、我々は外の世界の住民ではなく、別の世界の住民。本来は幻想郷にいない存在だったけど・・・・・。我々は元々紅竜玉神殿という所で『境界超越実験』の途中だった。境界超越実験は、世界の境界を越えて、他の世界に入るための実験。でも、事故が発生して、私他数名が紅竜玉神殿ごと幻想入りしてしまった、んだと思う」
「実験はよくわからないけど、あんたの他にも何人かいるの?」
「うん・・・・・、幻想入りしてからまず 気付いたのが、我々の力が弱体化したこと。恐らく信仰の力が博麗大結界によって阻まれたんだと思う。で、幻想入りした一人の神様が、『此処で信仰を集めようぜ』と言い出して、信仰を集める上で一番楽な畏敬を集める事に決定した」
「いきなり来て本当に迷惑な」
「この場を借りて謝ります。でも、私は反対した。まずこの幻想郷で関係を持つべき、と唱えたのよ・・・・・、そしたらあいつらは、反対する私をボコボコにした挙げ句に追い出した」
「酷い話ね・・・・・、で、何人来たの?」
「私の他に四人。けど、下手するともっと多い」
「ああ、そう・・・・・」
霊夢は再びお茶を口に運ぶ。つまりその他大勢という名の雑魚が多くいるのだろう。
「で、そいつらが今回の異変を起こしたと」

ここ最近、幻想郷全体の気温が急上昇している。この三日間で、気温は五度以上は上昇し、植物は枯れはじめ、小さな川は干上がり始めている。あまりもの暑さであらゆる人間、妖怪が外に出たがらず、妖精すらもバテているという状態だ。近年稀に見る異常気象かと思われたが、霊夢の勘はやはり的中した。

「で・・・・・、何処でこの異変を起こしてるかわかる? 判れば今すぐにでも出発だけど」
「わかってる」
白夜のあまりにも早い即答に、霊夢は不意をつかれむせてしまった。
「返答が早いわ。驚いたわよ」
「え? 早かったら駄目なの?」
「え、いや」
「なら良しだね。えっと、あいつらは鬼門、北東の空に拠を構えたはず。私ならそうするし、『全知』がいるならきっとそう」
それを聞いた霊夢は、少しばかり顔をしかめる。
「『全知』なんてたいそうな名前で言われてる奴もいるの? まぁ良いわ、北東ね」
「ええ、異変を解決した暁には、相応の報酬を約束するわ」
刹那、霊夢の表情が激変する。
「本当!? さっさと出るわよ早く!」
「ん? ああ」

(金目の話になると積極的になるというのは、文書通り本当なのね)

白夜は苦笑しつつ、半瞬先に飛び立った霊夢を追いかけた。

白夜と霊夢が博麗神社を出発した時。その上空で、黒い着物を着用している、長い黒髪で幼い少女が、その動きを監視していた。太陽から照らされる溢れんばかりの光を受けて、汗を一つもかいていない。少女の髪が、風で靡く。
「・・・白夜発見。予想通り、博麗神社から飛び立った。これより遅滞戦闘、及び迎撃を開始する」
少女は霊夢達を上回るスピードで行動を開始する。

全ては、元の世界に帰らんが為。
全ては、仕えるべき主の為。

少女の思いと共に、全ての時が動き出した。


 

博麗神社を出て半刻も経過していない頃。
「ん、向こうに誰かいるわ」
霊夢は、向かう方向である北東の空の先を見た。確かに向こうに、黒い人影がある。近づく程に人影は大きくなり、本人の顔が見えてきた。
「あ、障害その一。神殿の主祭神の御使いの一人かな」

「こんにちは、白夜。それと博麗の巫女。ご機嫌は」
黒い着物を着た少女が口を開いた。その口調には、明らかに殺気が込められている。
「最悪よ」
霊夢も、その殺気に応えるべく臨戦態勢に入る。しかし、白夜が一歩前に出て霊夢を制した。
「こんなところで何の用、禍津」
「えぇ、主に命じられての迎撃よ。貴女達をね」
「神格のはしくれが? 私らに勝てるとでも・・・・・?」
初めて聞く単語に、霊夢は首を傾げる。白夜はそれに気付き、ゆっくりと説明を始めた。

神格「禍津日神」。イザナギが禊を行って黄泉の穢れを祓ったときに生まれた神で、災厄を司る神霊である。厄除けの守護神として信仰されていたが、現在は神格の一つとして竜神に仕え、竜神の矛となっている。

 

「まぁ、分霊だけどね」
「ふーん ま、要するに邪魔しに来たので良いわけ?」
「まぁ、そんなもんかな」
「人の正体を勝手にばらさないでくれる? ま、その通りだけども」
禍津は自身の殺気を解放する。
「まぁ、時間稼ぎしかできないけどね」
禍津が片腕を上げた。その瞬間、白夜が「来るぞ!」と叫んで警戒を促した。

「『災厄・大禍時の鐘』!」

禍津の漆黒のオーラが瞬く間に結晶化し、弾丸に形成されるまでが僅か0.5秒。
どす黒い弾幕が放たれた。
「回避するわ!」
二人は、弾幕の間の小さな間合いから、華麗に避けていく。
霊夢、先に行って!」
白夜が霊夢の盾になるように前にでた。
「でも
「満身創痍の私じゃ、二の舞になるのが関の山なの。 霊夢が先に行った方が勝率が高いわ」
「そう? わかったわ」
霊夢はならば早しと、白夜に背中を見せて飛んでいった。白夜はそれを確認して、肩の力を抜きつつ、右手を掲げた。刹那、白夜の眼前に自分の背ほどの召喚陣が浮かび上がった。


「『絶天符・マグマオーシャン』」


一瞬の間の後に、召喚陣から大質量の溶岩の津波が出現した。比喩しようもない、紛れもない溶岩の津波である。
「う・・・・・嘘ッ!?」
禍津は後方に飛んで回避を試みる。が、それが無駄だと即座に判断した禍津は、漆黒のオーラを結晶化して自分の身を囲むように結界を張る。

溶岩の津波は大気を焼き、大気を焦がし、禍津に直撃した。

「っぶな・・・・・」
「何だ、生きてたの?」
「失礼な・・・あんた、さっき『自分は満身創痍だ!』って言ってなかっけ?」
「えぇ、そうだけど?」
「怖い・・・。流石は、『最強の武神』と謳われたほどはある」
「そう。あんたは、その『最強の武神』に敗北する」
白夜は両腕を掲げた。同時に、九の尻尾が白銀に煌めきだす。

白夜が『最強の武神』と云われた所以。その理由は、彼女の能力に由来する。

あらゆる事象や存在をも寄せ付けないその能力が。

そして、白夜は力ある言葉を開いた。

 


「召喚、『干渉結界』」

 


白夜達が禍津と出会う少し前。北東の空に、それは浮いていた。
銀と金で装飾されたその建物。名前を、紅竜玉神殿(こうりゅうぎょくしんでん)という。

「遂に見つかったぞ、白夜が」
神殿内部で、玉座に居座る一人の外見16歳程の少女が、眼下の人達に言った。その外見たるや、正に太陽に相応しい表情と容姿だ。神々しいの一言のに尽きるその眼差しは、遥か未来を見据えている感覚がある。
「『全知』。奴らは何時来る?」
「ほっとけば、一刻ほどかな?」
全知、と呼ばれた15歳程の少女が可愛らしい返事する。頭には二本の角があり、神職が着用する神官服をはおっている。呼ばれた名前と、外見が全く一致しない。
「でも、博麗の巫女が相手じゃ、並みの神格ではさらっとやられるねー」
「ならば相応の戦士を送るまで。『戦凶』、行ってくれるか」
「あぁ。命令なら仕方ねぇ、面倒だが行ってやる」

「一言余計だ」
戦凶と呼ばれた少女が適当な返事をし、即座に神殿の窓から飛び去った。竜神は、戦凶の背中を確認すると、視線を窓から王座の眼下に戻す。
「我らは不本意にもこの地に来た。力は縮小し、元の力は永遠に失われたかもしれん」
竜神は一息ついて、口を開く。
「我らはこの地で、再度力を取り戻す。如何なる妨害が立ち塞がろうが、全てを踏み潰す。この地は、我らの手によって未来永劫支配される事となる。忘れられた者が住む幻想の地よ。我らの強大な力に、ひれ伏すがいい・・・・・!!!」

竜神の言葉と共に、熱風が神殿から吹いた。その熱風は、峠を、河を、山を越えて幻想郷全体を駆け巡っていく。

 


こうして、異変の元凶は、存在をあらわにしたのである。

 

 

此方は、白夜と禍津が弾幕ごっこを行っている空域。そこで、

世界が激変した。
一瞬世界中の時が止まったかと思えば、その刹那後に天地が逆転し、禍津は幻想郷ではない別の場所に転移されていたのだ。
「これが・・・干渉結界・・・!」
禍津はたまらず声をあげる。
空には遥かな山岳地帯が、地には無限の大空が広がっている。そして、足元の大空の中には、満月と白夜 (太陽が沈まない現象) が朧に輝いていた。

「正に貴女自体を具現化した世界みたい・・・・・」
「まぁ、私が創った世界だし? で、覚悟はできた?」
白夜 (人の方) は右腕を掲げ、小型の魔法陣が浮かび上がらせる。
「もう、どっちがボスか分からなくなってきた」
禍津は白夜を足止めすべく、最高速度で向かっていった。

一方、此方は霊夢方面。白夜に背中を預け、北東へ飛行中だった。
白夜の言うには、敵方は少なくても五人、下手するとずっと多いと言っていた。禍津は只の斥候らしいので、この空域も恐らく例の主犯側の監視下にあると考えて良い。
しかも、相手は一心不乱に力を取り戻そうとする連中の為、何をしてくるかわからない。
そう思いながら警戒しつつ飛行している。
「・・・・・ん?」
この先で、弾幕勝負が行われている。霊夢は一瞬迂回するかどうか迷ったが、わざわざ避けていくのが面倒なので、このまま突っ込むことにした。

「いくぜ、『恋符・マスタースパーク』!!」
誰かと思えば、白黒の魔法使い、霧雨 魔理沙である。魔理沙の手の中にあるミニ八卦炉が煌き、そこから極太の巨大なレーザーが放たれた。魔理沙の代名詞とも言える、『恋符・マスタースパーク』である。大気すら焼く虹色のレーザーは、その先に仁王立ちする見知らぬ人に向かっていく。
山すら焼き払う虹色の光は、


「隙だらけなんだよ小童ッ!!」


尋常ではない大きさの太刀によって受け流された。マスタースパークを弾いた少女は、大太刀を持ち変えて、右手を魔理沙に向ける。
「『神鳴・焦土の万雷』!」
大太刀から放たれた雷の弾幕が、魔理沙を狙って直進する。が、
「これなら当たらないぜ!」
魔理沙は、弾幕の隙間を縫うように優雅に回避していった。
「一端の魔法使いが、俺達の野望を砕けれると思うなッ!!」
更に力を込め、弾幕の密度を上げていく。だが、魔理沙にはかすりもしない。
弾幕ごっこに関する、古参と新参の経験差である。不変の戦闘が五秒続いた結果、先に途切れたたのは新参の少女であった。
「20年も生きてない小童に、3000年の大成された雷をぉぉぉッ!!」
少女は、一切の弾幕を中断させて斬りかかった。これには魔理沙も不意を突かれてしまい、一瞬動きが遅くなる。
「なっ」
「その首貰ったッ!!」
「やらないわよ」
魔理沙と敵対する少女の間に霊夢が乱入した。
霊夢!?」
「面白い・・・・・ッ!」
少女は問答無用に霊夢に大太刀を降り下ろした。霊夢はお払い棒を両手でその一閃を受け止める。少女は上段からの一閃を止められると、すぐさま間合いを開けて居合の構えをとった。
「させるかッ!!」
魔理沙が、相手の動きが止まった隙にもう一度、八卦炉を掲げる。
「マスタぁー、スパーク!!」
八卦炉から放たれた虹色の光が、再び少女を襲った。
「・・・・・・ッ」
少女は、大太刀を振るい閃刃を放った。一瞬は弾き返したと思われたが、虹色の光に段々と飲み込まれていく。
「くそ、失態・・・・・ッ!」
少女は体を捻らせ、虹色の光を華麗に避ける。
「ねぇ魔理沙、どうゆう成り行きであいつと戦うことになったの ?あとあいつ誰?」
「あいつが誰かは私も知らないが、北東の方角に謎の建物が出現したのは知ってるか?」
「いえ」
「そこにちょっと行ってみて、何か借りようと思ってた」
「盗ろうと思ったんでしょ」
「その道中にあいつと会って、さっきの内容を説明したら斬りかかってきた」
「じゃぁあいつは例の神殿の連中の一人ってことか・・・・・」
霊夢は少女を見た。
「確認。あんたは異変起こした連中の一人でいいの?」
少女はそれを聞くなり、大太刀を持ち直す。
「御名答だ。俺は紅竜玉神殿の連中の一角、『戦凶』リーザ・ヴァルボロスト。憤怒と災厄から畏怖を手に入れた、災厄の大悪魔だ」
少女、リーザは大太刀を霊夢魔理沙に向けた。
「我らの名声を深淵から取り戻すならば、どのような手を使おうが関係ない。例え初見の者をこの太刀で切り捨てようが、万雷で蒸発させようが、我らの障害なら万策を尽くして切り崩す」
その言葉には、覇気が込められていた。少女の決意と覚悟。ちょっとやそっとでは、その思いを曲げることは出来ないだろう。
「まぁそっちの心情は知らないわ。私は異変を解決するだけ」
「ならばその魔法使いの童と同様に我らの障害だ。二人で来い、本気で相手してやる」
「おぉ、じゃあやってやるぜ!」

「二人で来るか・・・・・!『千咲・古千雷滝』!!」
リーザの右手から、瞬く間に視界を覆う雷の弾幕が放たれた。雷の滝と云わんばかりの弾幕が、霊夢魔理沙を強襲する。
「いくわよ、魔理沙!」
「あぁ!」
二人は弾幕を回避し始めた。弾幕は八方から霊夢魔理沙を撃墜せんと狙っていくが、両者とも掠りもしない。

「やはり手練か・・・・・、『瞬火瞬雷』!!」
『古千雷滝』では撃墜できないと悟ったリーザはすぐさま陣を展開し、大小様々の弾丸を発射していく。しかし、これもたいして変わりがない。
「これでも・・・む」
霊夢から、先が痛々しく尖った封魔針が飛んできた。リーザは大太刀を抜刀して構え、
横にあっさりと薙ぎ払う。直前の封魔針はおろか、振り払った余波は先の封魔針をも撃墜し、更に霊夢を狙った。
「くっ」
苦しみ紛れに回避する霊夢。リーザは追撃の弾幕を張っていくが、一重に回避してみせる。
戦況は霊夢達が押されぎみである。放った攻撃は全て切り落とされ、豪快な一発を食らわせてくる。
「まだ大技を使わないのか!!」
リーザは誘導能力がある雷の滝を二人にかましていく。
魔理沙!!」
「ん・・・・・、わかったぜ!」
短い確認を取り合った二人は、行動にうつす。この状況を打破する戦略である。霊夢がリーザの視界に入って惹き付け、魔理沙は背後に回る。
「何をする気だ・・・・・・!?」
雷の滝が霊夢に集中する。
「『二重結界』・・・・・、くっ!」
二重に張られた結界は、雷の滝を受け止めるが半瞬で砕かれた。
「これで終わりではないだろう」
「勿論だぜ!!『ブレイジングスター』!!」

「!?」
幾多の星を噴出しつつ、魔理沙が箒に乗って恐ろしいスピードで突撃してきた。回避できないと悟ったリーザは、大太刀の腹で防御行動にでる。
鈍い爆音。
彗星のような激突は、リーザの展開した陣を木端微塵に砕き、大太刀を折り、防御した本人にも大きなダメージを与えた。魔理沙は空を切って霊夢の元に舞い降りる。
「ま、こんなもんだぜ」
「まぁ、良いじゃない?」
二人が軽い会話をする最中、リーザは大破した大太刀を見つめた。この状態では、自分のスタイルで戦闘を継続するのは難しい。元々リーザは、大太刀による迎撃と、追撃の雷を得意戦法としており、とてもではないがずっと回避するというのは出来ない。リーザは仕方なく大太刀を捨てた。大太刀が遥か下の地に落下していく。
「お? 降参か?」
「降伏はない。撃墜された方がマシだ」
リーザは間合いを広く空け、両手を掲げた。リーザの背後に巨大な陣が展開される。
「このまま戦闘を続ければ負けるのは俺だろう。故に、最高の弾幕を展開しよう!!」
陣の中の紋章が煌めき、大気が震える。リーザの瞳が光り、右手を振り下ろした。


「『轟雷・絶対焦土の万雷』!!」


陣から召喚された、幾千万と表せない天雷の滝が、霊夢魔理沙を襲い狂った。
「な・・・・・・!?」
巨大な雷、小型の雷、誘導する雷、多種多様の雷群。一瞬、逃げ道が無いように見えた程だ。
天雷の奔流が迫る。
「こりぁ・・・・・!」
大きく動き、回避に専念する二人。だが、雷の奔流を前に一重で避けるのが精一杯だった。
雷の弾幕は威力の他に視界を潰し、遠近感を狂わせるという力もある。
視界を潰し、問答無用に万物を灰とする。これがリーザの十八番だ。
「避けきれない・・・『霊符・夢想封印』!!」
霊夢の陰陽玉から、凄まじい数の札とカラフルな弾丸が放たれる。リーザは止められないとしてその弾幕を無視、弾幕魔理沙に集中させる。
「この小娘一人位は・・・・・・・!!」
だが、リーザが魔理沙弾幕を当てる前に、夢想封印がリーザに直撃した。
「ぐぅ・・・・・!?」

リーザがモロに夢想封印を受けて、姿勢が崩れる。弾幕にもその影響が生じて、リーザへの道が、一直線に開いた。この隙を見逃す霊夢魔理沙ではない。
魔理沙!!」
「任せろ!『恋心・ダブルスパーク』!!」
八卦炉から、時間差で二つ放たれる虹色の光。山すら焼き払う二つの光は、残った雷の奔流を消滅させながら、刹那の勢いでリーザに直撃した。
「・・・・・・・・おおおおおおおお!!!」
二つの虹色の光を全身で浴びたリーザは、気を失って落下していく。それに応じて、リーザが展開していた弾幕の陣も解除され、雷の残りも消滅していった。
「ふぅ・・・、やっと倒せたか」
「けっこうきつかったわね」
やっと一息つけるとホッとした二人。その後、霊夢魔理沙は互いを見合い、北東へ飛んでいった。




「キングアトラス、リーザが倒されたよ」

神殿の中心にある大部屋で、『全知』と評される少女が竜神に言った。この大部屋にいるのは僅かこの二人。
「リーザが? てゆうか人は王号で呼べと」
「王号で言うのが面倒なんだもん」
「・・・・・・あぁそうかい。で? 誰にやられた?」
「魔法使いと巫女の二人」
「・・・・・・は?」
キングアトラスは絶句した。『戦凶』、リーザ・ヴァルボロストは、神霊すら討つ大悪魔であり、その戦闘能力は百万の軍勢を遥かに凌駕する。如何に名声が神霊の間で轟く博麗の巫女でも、それほどの実力を保持するとは思っていなかった。
単純に考えれば、博麗の巫女と魔法使い二人で、百万の軍勢を遥かに凌駕することになる。
「言っとくけど、博麗の巫女と魔法使いの二人がかりだから。その魔法使いも実力は博麗の巫女とほぼ同じと思って良いし、リーザも含めて私達も力も、信仰が無くなって弱くなってるからね?」
「・・・・・『全知』よ。いや、リルア。俺達は、相当ヤバい奴を相手にしてんのか」
「やっと気づいたの? 相当ヤバいどころか、滅茶苦茶ヤバいね。比喩使用もない位」
呆れた口調で答えるリルア。キングアトラスは大きな溜息をついて、開いている天井を見上げた。
「召喚の陣は? 構築出来たか」
「八割は。でもこれじゃあ可視範囲内に二人が侵入する方がずっと早いと思う」
「その時間は神殿と俺が稼ぐ。それでも?」
「う~ん。正直、ギリギリかなぁ」
「急いでくれ、これまで無い位に。で、リーヤの状況は」
「言われたとおり、幻想郷のパワーバランスを壊すために紅魔館に向かわせたよ。まぁ、吸血鬼に負けるでしょ」
「だろうなぁ。もっとよく考えて異変を起こすべきだった」
「当たり前だねー。じゃあ私、作業に戻るよ」
「あぁ、すまんな」
言葉を残してリルアはそそくさ退出する。キングアトラスはその背中を見送った後、目を閉じて自分の胸に手のひらをのせてみた。
(やはり、竜大神格がない・・・。暴走竜の化身め、何処にいった・・・?)
竜大神格は、キングアトラスの所持する神格でも最大の力を有する神格であり、その影響力は絶大である。
元々は、キングアトラス達が本来いた世界で、最大級の悪事を働く悪竜だったものを、キングアトラスとその部下が討伐し、その際神格にすることに成功したのである。それをキングアトラスが所持することになった。
だが、今は竜大神格をかまう暇はない。キングアトラスはひとまず竜大神格の事を忘れて作業に入ることにした。

 

 

 

 

 

てな訳で、東方絶天火をまとめてみた・・・・・のは良いんですが、文字数が多すぎて一度の記事に出来ませんでした。こればかりは仕方無い。

こうして見ると、色々と矛盾やら必要性の低い所やら、日本語が可笑しい所まであったので、一応編集しました。でも、気付いてない所まであるかもしれないので、それを見つけた際には申して下さい。編集し直します。

いやー、懐かしい。此処でリーザの出番が暫く失われ、絶天火が終わるともう出てこないという。可哀想に。残念。

日曜に、乱千天更新します。あー、バレンタインイラストは今日の夜に描いて、明日公開します。咲夜を描いたので、楽しみな方は楽しみにしといて下さい。

ではでは、この辺りで。

 

あ、乱千天の番外編、全く更新してない。どうしよおー・・・・・。