東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

東方乱千天 ~十六・終~

「早苗!? それに神奈子まで!?」

霊夢は驚きを隠し切れない。どうして今まで出てこなかったんだと思っているのだろう。山の上の守矢神社を通った時にはこの二人は居なかった事を、霊夢は此処に来る前に確認している。なので今まで出てこなかった事を不思議と思うのは自然だろう。

「驚いたよ、霊夢の隣に見かけない巫女を見つけた時には。商売繁盛で博麗神社の巫女が増えたのかと思ったわ」

「本当ですよ霊夢さん、まさか霊夢さんが天狗を従えているだなんて」

「私は霊夢さんの従者ではありません!!」

早苗に反論する淵谷。

「そもそも、貴女達は今の今まで何処に居たんですか!? こっちが凄く大変だと言うの

「淵谷前を見なさいよ、 『陰陽・陰陽究極玉』っ!」

亡命が淵谷を守るかのようにスペルカードを発動。淵谷の前に、『秘術・グレイソ―マタ―ジ』によって出来た穴を塞がんと猛追する『叢雲・一騎当万の孤独龍』の一部の弾幕を吹き飛ばす。淵谷はそれによってハッと感づき、残った弾幕を手早く回避していく。

「当のご本人はまだ居るんだからぁ。油断禁物よ、そこの神様も巫女も淵谷も」

「っ、すみません亡命様」

「理解したら、限界まで後ろに下がりさない。貴方が被弾したら八岐大蛇は封印出来ないんだから」

「了解しました」

淵谷は亡命の命令を受けて、すぐに更に後方へ移動する。天狗の足なら後ろから不意打ちが来ても大丈夫だろう。この間にも八岐大蛇の放つ弾幕は続いているのだから。

「早苗に神奈子、話は終わった後に話すから。今は目の前の脅威に集中!」

「わかりました霊夢さん! 私の秘術を食らうがいい妖怪ー!!」

「良いわよ、私の御柱の力を見せてやるわ!!」

獅子奮迅と気を盛り立てる二人(もしくは二柱)。霊夢もそれを確認して、再び八岐大蛇の方向を見る。

この弾幕ごっこに協力攻撃はお互いに号令し合った時以外にやらなくても良い。なので戦術的には一対一と考えて、自分の弾幕ごっこをやれば良いのだ。八岐大蛇は強大だが、普段協力をやらない四人にとっては、無駄な戦術返って自分達を拘束する鎖に変貌してしまう。

「まぁ、火力が増した分、こっちが有利よねぇ」

亡命は通常弾幕を張り続ける。早苗と神奈子が誰で、どのような力を持っているかどうかは知らないし知る必要性も低い。だが、この作戦ならば知っても面倒な事にはならないという事が理解されるだけだ。変わる事といえば、此方の勝率。相手がラスト宣言をしたなら、このスペルを耐えるか砕くかで勝負は決まる。だが、耐えるだけでは封印には繋がらない。八岐大蛇にダメージを与えて、封印する事こそが今回の目的である。

「私と霊夢で一回与えられてるんだから、あっけなく倒せる・・・・・・

「まさか私をあっけなく倒せると思っているのか、そこの亡霊」

突然の発言と共に八岐大蛇が目の前にまで接近している事を、亡命は気付けなかった。

 

「「「「「ッッ!?」」」」」

 

亡命は二の句も言えず回避行動もとれず、ただ吹き飛ばされた。

「ぐうッ・・・・・・・!!」

亡命は諏訪子や風里と同じく蹴飛ばされたのだと、吹き飛ばされながら勘付く。自身の空を飛ぶ力を駆使して滑空する自分の身体を止める。霊夢も神奈子も早苗も気付けない、神速の一撃である。自分は通常弾幕を張っていた筈なのに、それを被弾せずに蹴る技術も、改めて並大抵のものではない事を思い知った。

「早すぎる、とても目が追いつかない、とでも思っているのか? お前もそこの軍神もそこの緑色の巫女も紅白の巫女も向こうの天狗も、全て私の仇敵だ」

「まって、神奈子と亡命と淵谷はともかく、なんで私と早苗まで」

「紅白は千年前に私を妨害した者に似ている。緑は素戔嗚尊の子孫だろう? 故に私を倒す。千年前と同じく、私という八つの山と谷の力を持つ脅威を封印する。だから私は抵抗する」

先程まで表情だけを変え黙々をしていた八岐大蛇が、滑るように喋る。

「私は全力でお前達を掃う。お前達は全力で私を討つ。私を倒してみろ、その先に、更に平穏とした幻想郷が待っているだろう」

八岐大蛇はそこで言葉を切り、再び『叢雲・一騎当万の孤独龍』を放つ。霊夢達が包囲している中、花火のように全方向に向かっての弾幕だ。全体が必死の回避行動に出る。

「小癪な・・・・・・!」

神奈子は御柱を振るいながら弾幕を張る。だが、八岐大蛇までその弾幕は届かない。届いたとしても、彼女が身を翻すだけで避けられた。翻した余力をバネに、八岐大蛇は一気に神奈子との間合いを詰める。

「時代遅れの軍神はさっさと隠居しろ」

「ぐ、誰がするか! 私はまだピチピチの・・・・・・!!」

神奈子は接近しすぎて弾幕が逆に邪魔なので止めて、近接戦闘用の短い御柱を持って八岐大蛇を振り払おうとする。だが八岐大蛇は御柱を優々と振りぬけ、神奈子に蹴りを食らわせた。

「がはっ・・・・・・!」

「神奈子様!」

「あーもう役立たず!」

「ほら、私に一撃を食らう程度では軍神は務まらないぞ」

神奈子は悶えながら下降、戦線を離脱する。これでは戦力が減り勝率が低くなってしまう。だがそれ以上に、八岐大蛇がまだここまで力を温存していた事に驚きである。

「まずいまずい、本当にまずいわねぇ」

「あんた、本当に危機感を持ってんの?」

「勿論よ。でも、本当に手が無いわー」

亡命は八岐大蛇を一瞥。まだ弾幕を張り続ける八岐大蛇は、先程神奈子を蹴り飛ばして全然体力があるのかと思ったが実はそうでもないらしい。小さいが、肩で呼吸しているのが分かる。少なくともスぺカをあと一枚当てれば封印出来そうな気がする。元博麗の巫女の勘だ。相当な事が無い限り当たると言って過言ではない。

「せめてあのお酒が有れば・・・・・・・」

「お酒? え、酔拳でも使えるんですか?」

「使えないよぉ。ていうか役に立たなさそう。でも、霊夢のその剣」

亡命は八岐大蛇の弾幕を回避しながら指差す。

天叢雲剣。八岐大蛇にも絶大なダメージを与える其れに強いお酒をかけて切りつける、又は弾幕を当てる。酒豪の八岐大蛇なら動きが鈍ると思うのよねぇ」

「ありますよ、お酒」

そう言って、早苗が小さな瓶を懐から取り出した。

「あるの!?」

「はい、出かけていたのもこれを取りに行くのが理由だったので。外の世界でウイスキーって呼ばれてるお酒で、これはけっこう強いですよ? 二口ぶんくらいしかないですが」

「至極十分。じゃあ早苗さん、それ頂戴」

「は

早苗が渡すよりも先に亡命はそれを取る。亡命は一度それの匂いを嗅ぎ、蓋を空けて霊夢の持つ天叢雲剣に豪快に散布する。

「これで一太刀浴びせればこっちの勝ち。いくよラストスパート!!」

「はい!」

「仕方ないわね、これ私が一番頑張んなきゃいけないでしょ」

「冥界の剣士みたいな弾幕を張って当てるものよしよ、多分」

「おっけ、頑張りましょ。『神技・八方鬼縛陣』!!」

閃光の如く、豪快に放たれる大量の御札。だがそれは何時もの『神技・八方鬼縛陣』より弾数が少ない。あえて霊夢の目の前を見えやすくさせ、容易に八岐大蛇に接近する為に調整したのである。霊夢弾幕を展開しつつ、八岐大蛇へ接近を試みる。

「何かしたか」

八岐大蛇は変わらず弾幕を放った。身体を大きく揺らして回避しつつ最上級の弾幕を放つ。霊夢弾幕は軽々しく優々と避けられていく。

「これまでです妖怪! 『大奇跡・八坂の神風』!!」

霊夢のだけでは火力不足。早苗は自身のスペルカードを取り出して使用した。早苗を中心に台風の眼の如く放たれる大規模な弾幕。台風が八岐大蛇の弾幕と相殺しながら八岐大蛇の周囲に広がり、確実に逃げ道を封殺する。

数だけでは早苗の弾幕は八岐大蛇の弾幕と比べ物にならない程密度の違いがある。なので早苗は本来の状態よりも密度を更に広げて相殺しにくくなり確実に八岐大蛇を包囲する作戦に出た。その分此方に飛んでくる弾幕は多くなるが、淵谷も含めそれは気合の踏ん張りで回避するしかない。

「同じ巫女だからこんなに不自然と調子が合うのかなぁ。まぁいいけど」

亡命も最後のスペルカードを取り出した。

 

「『八百万・一千万の神様と一億の信仰者』!!」

 

亡命を中心とした魔法陣が展開され、そこから大量の弾幕を張る。『大奇跡・八坂の神風』によって封殺された八岐大蛇の逃げ道を更に小さくし、なおかつ淵谷への直撃弾は狙って相殺させる。淵谷の守備でほぼ手一杯だが、自分の成せる仕事は十分に果たしたであろうと亡命は確信した。

なんだか勝てそうな気がする。

「貴様ら・・・・・・!!」

八岐大蛇は霊夢達の弾幕によって眼前がカラフルな弾幕に覆われ、目の前が見えずらい状況下に陥っていた。だがコピーした弾幕技術はそれを回避し切る。初見のスペルであろうが瞬時に弾道を計算し、グレイズで回避していく。

だが、本人はイマイチ納得できない。相手の作戦にまんまと引っかかっている気がしてならない。だが相手は酒を取り出した時以外に打ち合わせ出来るような暇を与えなかった。大きな声で号令を掛けていれば嫌でも八岐大蛇の耳に届く。阿吽の呼吸を幼い少女達が上手く出来るとは思えない。

「間合いを詰めるのが妥当か?」

だが敵がどのような手を隠しているか分からないし、霊夢という紅白巫女も弾幕のせいで何処に居るのか分からない。妙な事に程紅白の弾幕が多い。霊夢を潜ませ自分が接近すると挟撃するつもりか。

「間合いを空ける・・・・・・・否、敵の場所が分からなくなるのは最悪か」

八岐大蛇はあえてこの場に止まる事を選んだ。霊夢の姿が一瞬でも見えれば、そこで霊夢を叩いて撃墜させる。八岐大蛇は手に込める力を一層強くして弾幕をより激しくさせる。大きく回避行動に出る紅白が居ればそれは霊夢。焙り出す作戦だ。だが、

「もう詰みなんじゃない、蜥蜴」

霊夢天叢雲剣を袈裟に構え、八岐大蛇の背後にまで接近していた。

「・・・・・・・!!」

霊夢は自分が思っていたよりずっと、八岐大蛇の近くに居た。弾幕の速度をあれほど出していたのだ。霊夢が接近する事を考えると体感速度は半端ではないはず。ましてや背後を突くなんて。

「はッ!!」

霊夢は構えていた天叢雲剣を袈裟に卸す。八岐大蛇は咄嗟の事で判断が遅れるが、霊夢の持つ武器は天叢雲剣。恥ながら素戔嗚尊に敗北し自分の尾から出てきた剣だ。これで切られれば半神半妖としての存在が危うくなる。八岐大蛇は身体を限界まで剃らして斬撃を回避した。だがそれでは霊夢の姿が見えない。

「当たる!!」

霊夢は返し刀の要領で八岐大蛇に更なる斬撃を加える。姿を捉える事が出来ない八岐大蛇は直感だけでそれを避けた。だが瞬間的な早さの間に行われた事だ、回避し切れず浅く切りつけられた。

「ぐ!?」

受けた傷は浅い。だが八岐大蛇の身にかかる負担は何なのか。

霊夢!」

「分かったわよ御先祖様!」

霊夢は隼をも仰天する速度で八岐大蛇の更なる背後に回る。八岐大蛇はそれを目で追いかけるが身体は本来のものよりも動かない。八岐大蛇は最後の足掻きだと淵谷の更に背後、妖怪の山に手を向ける。

「この・・・・・・、強い酒かぁ! ス・・・・・素戔嗚尊ォッ!!」

「させるか! 『光霊・神霊宝珠』!!」

霊夢のカラフルで大量の陰陽玉が背後から八岐大蛇の身を襲う。正面からは早苗の『大奇跡・八坂の神風』と亡命の『八百万・一千万の神様と一億の信仰者』が本来の密度に戻され八岐大蛇の身に着弾していく。弾幕を受け過ぎた八岐大蛇は身体が光り出した。それを確認した淵谷は『支配奥義書』を開いて詠唱を終え、封印の祝詞を口にした。

「『蛇神封印』・・・・・・、八岐大蛇よ、我々の郷に下れ・・・・・・!!」

八岐大蛇の光り出した身が集束する。光は粒子となって渦を巻き、『支配奥義書』に吸い込まれていく。八岐大蛇だった粒子が全て『支配奥義書』に収まると、奥義書は一人でに閉じていく。

 

 

こうして、『乱天異変』東方乱千天は幕をほぼ閉じたのである。

 

 

 

 

 

終わったー。シリーズ式の三つ目の小説がほぼ幕を閉じたー。

これまで乱千天を見てくれて有難う御座います。高校生になる前最後のシリーズ小説になりました。んじゃあこれからどうなるんだ。

このブログの存在意義は、あくまで小説の公開。次回のシリーズ東方小説はどうなるか。

次のシリーズ小説は決まってます。序に言うと更にその次も。

シリーズ小説は下書きだけで四つ位考えてるので、このブログの存在は維持出来るかと。ただ以前出した「高校生になったら」の記事で公開してるのですが、更新スピードは圧倒的に遅くなります。いえ、頑張る。頑張りますとも!

高校生の事は「高校生になったら。」をご覧ください。リンク初めて出来た

何時もの通り、ミスがあったら(以下略

ではここらへんで。また明日~。