東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

日喰異変 ~東方陽蝕昼~ Ⅱ

霧がかかる吸血鬼の館から、空間を切り裂くように飛び出した二人の吸血鬼。

一人は、紅い悪魔。レミリア・スカーレット

もう一人は悪魔の妹。フランドール・スカーレット

幻想郷でも指折りの実力を持つ二人の少女が、異変の解決の為自分達の家から飛び出した。その二人のスピードは、並の人妖では追いつけれない程である。

その姿を、何時も通り爆睡中の門番の隣で見ていた人間が居た。

「やっぱりな。何か隠していると思ったぜ」

そう言って、白黒の魔法使い、霧雨魔理沙は箒に跨って二人の吸血鬼を後を追う事にした。吸血鬼達は早いが、あの加減したスピードなら追いつけない事は無い。空高くを飛ぶ吸血鬼達を視界から外さまいと、地面を沿うように尾行を開始した。

 

「と言っても、アテが有るわけでもないし。どうしようかね」

薄暗い幻想郷を切り裂くように飛ぶレミリア・スカ―レットが、小さく溜息をついた。同族を一喝してやろうと意気込んで異変解決に飛び出したのは良いが、その吸血鬼が住む場所がまるで見当つかない。興味無いし。

霊夢が調査した所を、順に探していけば良いんじゃないのー?」

自分なりの考えを言うフランドール・スカーレット

「そうねぇ、他に良い案があるわけでも無いし。無駄足を運ぶのも良いでしょ」

霊夢は多くの異変を解決してきた熟練者だ。その足跡を辿っていけば、何時かは霊夢の居る場所と同族の住む場所に辿り着くだろう。早く探さなければ、霊夢が異変を解決してしまう。

レミリアはそう考え、フランの意見に賛成。そのまま、霊夢の行きそうな所に向かう事にした。

 

 

「・・・・・・・・・・ったく」

霊夢、何処にも居なかったね」

一刻程幻想郷の主だった者達の住みかを訪ねてみたところ、異変が始まったのを確認してから霊夢が訪ねて来た場所は一つも無かった。霊夢の姿を見たという者は何人か居たが、遠目で見ただけだという。

「これじゃ人探しなんて出来ないわ。とんだ無駄足」

「でもお姉さま。さっき無駄足運んでも良いって言ってたよね」

「う。・・・・・・・・・・それとこれは別」

レミリアはそう言いながら飛行を続ける。先程は早歩き程度の早さで幻想郷を駆け回ったが、今は歩き程度の早さしか出してない。これでは『私はやる気があります!』と言っても何の説得力も無い。

レミリアはゆっくり飛びながら、ちらりと地上の森を見た。

 

「いきなりスピードアップしたな。何処かアテが見つかったか」

魔理沙は地上スレスレで、レミリアとフランを追尾していた。二人は、幻想郷各地を巡った後草臥れて移動速度を落としていた。それがいきなりスピードを上げて行くもんだから、一度は視界から消えてしまったのだ。これでは尾行とは言えない。全力で捜索を試みた所、意外にあっさり見つけた。加速したとはいえ、吸血鬼の出せるスピードの中では遅い部類だろう。

今の地上は森の中。木々のせいで正面の視界は兎も角、上の視界が悪い。木々の葉の間からちらちら見えるレミリアとフランの姿を追っている状況だ。平原に出られるのが一番面倒とはいえ、この状況もイマイチ芳しくない。

そう思っていると、森の巨木群によって空への視界が潰された。

「しまったな・・・・・・・、早く抜けなくては」

この森の中でも特に背の高い部類だろう。ただでさえ太陽の光が喰われて薄暗い幻想郷、この巨木群の下では暗闇と言っても過言ではない。

その背の高さで魔理沙の視界を妨害していた巨木群を抜け、再び上を見る。だが、そこに二人の吸血鬼は居なかった。

巨木群の下では魔理沙は早く抜ける為加速している。吸血鬼達が加速したとも思えない。これは、どこか別の方向へ飛んで行ってしまったと考えるのが妥当か。ならば早く見つけなくては、本当に見失ってしまう。

「全く面倒だな。一度上に上がるか」

「あら、その必要は無いわよ?」

「おおっ?」

魔理沙が驚き振り向くと、そこにはレミリアとフランが。どうやら気付かれていたらしい。レミリアが腕を組んで、魔理沙を睨んだ。

「潔く帰ってったと思ったら、こんな事を考えていたのね」

「まあな。あの反応の仕方、お前が何か隠していると思ったからな。案の定館を出ていきやがった、これは私の勘が的中したと」

「それで追って来たんだねー」

それを聞いて、レミリアは呆れたように溜息をついた。

「なぁ、此処まで来たんだ。何か知ってるんだろう? この異変について。教えてくれよ」

「全く・・・・・・・・・。まぁ此処まで来たんなら良いか」

レミリアは軽く溜息とついて、手頃な丸太に座った。丸太は汚れているが、レミリアは事前に表面ごと手刀で綺麗にしているから多分問題は無いのだろう。

「私が以前紅魔館で読んだ本に、この異変と似たような事が書いてある本を見つけたのよ。それが別の吸血鬼の仕業だった。最初読んだ時は興味が無くて適当に置いてったけど、今回の事を受けて思い出したわけ」

「なんだ、それくらいだったら私に教えてくれたって良いじゃないか」

「面倒だったからね。別の吸血鬼のやる事に興味は無いけど、このやり方にはイマイチ気にくわない。それに幻想郷を征服するのは、私らがやる事だからね」

「でもお姉さま、それともう一つ理由があったよね? 忘れたけど」

フランがレミリアに向かって挙手しながら質問する。レミリアはそうだった、と言わんばかりの呆けた表情を見せつつ、コホンと小さく咳払いし続けた。

「その吸血鬼、何とか・ブローディって言うんだけどさ。ここからはパチェも知らないけど」

レミリアが一度言うのを止めて一呼吸。それ程までに溜めてまで言うような重要な事なのか。魔理沙は心中でそう思った。

 

 

「我がスカーレット家とそのブローディ家、どうやら血族的な関係があるらしいのよ」