東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

日喰異変 ~東方陽蝕昼~ Ⅲ

「・・・・・・・・・え?」

「それだけか?」

「え?」

三人の顔に?マークが浮かび上がる。特にレミリアの「あれ? 驚かないの?」と言わんばかりの呆けた表情は一見の価値がある。

「期待させてこれかよ。正直がっかりだぜ」

魔理沙は半分ふざけながら、両手を上げて溜息を吐いた。フランの場合はレミリアの言っている事が半分も理解出来ていそうにない。

「え? でもスカーレットとブローディに血縁があるのよ? 驚かないの?」

「血縁って何?」

「え?」

フランが血縁についての質問。まずこの話の根本が理解出来ていない。

 

ウィキペディア参照:血縁とは、共通の祖先を有している関係、あるいは有るものとして信じられている関係を指す。

 

 「・・・・・・・・・・・・って事」

「へぇー」

どうも無関心な返事を返すフラン。

「そもそも私はブローディの事すら理解出来てないんだ。そこんとこ説明頼む」

「あんたが知ってどうするのよ」

「今後のいざこざを避ける為だぜ」

「・・・・・・・・・・・・まぁ、良いわ」

レミリアは座り直し、説明を始めた。

 

昔々。吸血鬼達は一つの家族として暮らしていた。

だが長い月日が経ち、その家族はやがて五つに分かれたという。

東にスカーレットが。

中央に、ブローディが。

吸血鬼達の始祖血統であるブローディ家は、その五つの家族を間接的ながら、統率していたという。

ブローディは人間を利用しながら自分達なりの栄華を繁栄させ、やがて姿を消した。

 

「らしいわ。私が読んだ本にはそう書いてあった」

「本に? 吸血鬼が書いたのか」

「いや。吸血鬼ハンターって言われる吸血鬼専門の殺し屋が残していたんだと。そこらへんの話は私には分からないわ」

人間が書いたのでは多少の誇張表現があっても可笑しくないだろう。だが、吸血鬼に関係する人間が書いたのならまだ信憑性がある。後世に残すのならば、ありのままに書き残せば良いのだ。誇張する必要が無い。

「そもそも吸血鬼の始祖って何だよ。訳分からん」

「吸血鬼の生みの親って事じゃない? 吸血鬼がどうやって生まれたかは知らんけどね」

「本当に知らない事だらけなんだな。これじゃ調べようが」

魔理沙レミリアは他にあたる所が無いか、と考える。だが、この幻想郷。吸血鬼が住む場所なんて限られている。ブローディを名乗る吸血鬼家がこの幻想郷にあるとも聞いた覚えが無いし。

「そういえばお姉さま」

思い出したかのように一言を入れたフラン。

「ん? 何?」

「妖怪の山のちっさい蛙とおっきい蛇、何か言いかけて止めてなかった?」

「蛙と蛇?」

レミリア達は魔理沙と合流する前に(魔理沙はその後を追っていたが)、幻想郷の主要な所を回っている。その時、妖怪の山にも足を運んだのだろう。白狼天狗が侵入を許すとは、妖怪の山も妖怪の山なりに開国してきたのだろうか。

「諏訪子と神奈子だな」

魔理沙が説明を加える所を気にもせず、レミリアは少しも考える動作に入る事無く。

「行きましょ。時間が無いしね」

レミリアに続いてフランが、それに続き慌てて魔理沙も飛び出した。向かうは西の妖怪の山である。

 

「あ、また来たのですか」

「ん? 小さい方は?」

「諏訪子は早苗と何処かへ行きました。なのでこの守矢神社には私一人です」

先程までお茶を飲んでいたのだ、と言わんばかりの体勢の八坂神奈子レミリアはまぁ良いわ、と神奈子に「何故何かを言いかけて止めたのか?」と聞いてみた。

「あぁ、その事ですね。貴女が去ろうとした時に思い出したのですが、面倒なので声を掛けなかったのです」

「何よ、それ」

まぁまぁ、と神奈子は茶化す。

「つまりその話をしろという事ですね? ちょっと待ってて下さい、お茶持ってきます」

「良いわよこのままで。こっちは時間無いんだ」

人に頼むような態度じゃないな、と魔理沙は視線でレミリアに訴える。が、レミリアはその視線に気付く事が無かった。神奈子は、お茶が入っていたであろう湯呑みを置いて話を始めた。

「以前の、八岐大蛇が来た! っていう異変を知ってますか?」

「知らん」

「知らないでしょうね。羅千天邸の天逆毎とかと合同で解決した異変です。その処理を、ある吸血鬼に頼みましてね」

「処理って、何?」

「異変後、問題分子の八岐大蛇は誰が管理するんだ? って事です。放置が危険と判断されたこれは、恐らくレミリアさんが追っている吸血鬼と同一人物であろう者に管理を任せました」

何処からか、お茶の代わりにお酒を取り出した神奈子。『蛇酒』と書いてある。

「名前が知りませんが、その吸血鬼が居る場所は分かります。再思の道の外れです。無縁塚とはまた別の方向」

「再思の道、か」

再思の道とは、魔法の森を抜けた先にある道だ。秋には彼岸花が咲き誇り、その毒気で自らの死を望む者に生きる気力を与える場所である。その奥に無縁塚がある。

「魔法の森の先か。飛べば直ぐ着くような所なのに・・・・・・・、私ですらその場所を知らん。霊夢は何でソイツの事を知ってるんだ?」

「さぁ? 博麗神社とかと何か関係が有るのではないのでしょうか、まぁ確信はありませんが。とりあえず行ってみては? どうせ他に行く場所無いんでしょう?」

湯呑みの中に『蛇酒』を酌み、それを呑む神奈子。それを聞いたレミリアはギクッ!! という効果音が合っている程の反応を見せた。図星とはまさにこの事。

「う、その通りよ。早速行ってみるわ。ありがと」

レミリアはそう言って直ぐに魔法の森の方角へと飛び去った。フランがその後を追う。魔理沙はその姿を見つつも、一つだけ神奈子に質問した。

「実はその吸血鬼の事、ちょっと知ってたりするのか?」

「あら、分かります? まぁ、外の世界ではちょっと有名ですよ」

神奈子はその事について、自分が知っている限りの事を魔理沙に教えた。魔理沙はその話を聞いて苦虫を潰したような表情をしつつも、直ぐにレミリアとフランの後を追うのだった。