東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

~日喰異変~ 東方陽蝕昼 Ⅳ

「此処が再思の道?」

「そ。この一面の彼岸花がその証だな」

見渡す限りの一面に、彼岸花が広がっている。

再思の道。自ら命を絶とうとする人間が、彼岸花の毒気によって思い止まり、生きる気力が沸くという道である。大概はそんな人間を狙う妖怪に狩られてしまうが。

「ただっ広いけど、道は一本。これなら向こう側に着くのも直g

「いや、この道を真っ直ぐ突っ切ったって無縁塚が有るだけだぜ。神奈子も無縁塚とは別の方向って言ってたろ。それとも無縁塚でゴミ拾いでもするのか?」

「・・・・・・・・・・・・いや」

神奈子は「再思の道の外れた所にあった」と供述していた。では、この一本道ではないという事が分かる。だがそれだけ、やはり情報が少ない。

「さて此処からどうする? 面倒だが、この周辺を回るのか?」

「そうだねぇ。霊夢が何か目印になるものを置いててくれたらいいんだけど」

そう言ってレミリアは、周辺を見渡す。だが、やはり彼岸花しか視界には映らない。

霊夢がそんなもの置いてくとは思わんなぁ。あいつ勘で進むし。やっぱ元々その吸血鬼の住む所の目印があるんじゃないのか」

「そうは言ったって、そう見つかるものなのかなー?」

とりあえず立ち止まっている暇は無い。再思の道の一本道を歩き出す。

太陽の光が喰われ、空には紅い月。辺りが薄暗い。足元程度なら余裕だが、遠くとなると流石に人間の目では見えにくい。霊夢も同じ状況であったのなら、どうして異変側の居城を見つける事が出来たのか。

「そう考えると、やっぱ近くに目印みたいのが」

トコトコと歩く三人。暫く歩くとフランが、何かを見つけたかのように再思の道の一本道の向こう側を指差した。

「あ! お姉さま、何か光ってる!」

本当に何か見つけたようだ。レミリアは少し速足になって、その光っているものに近寄る。それは縦長の紙で、不思議な紋様と、ありがたそうな言葉っぽくて読めない文字が書かれていた。

霊夢の札だな。置いてたのかよ」

「じゃあこの近くに他の目印が」

わざわざ札が「私は此処ですよ。さっさと見つけろ」と言わんばかりに光っていたのだ。これが例の目印と考えても良いのかもしれない。レミリア魔理沙は、辺りを見回す。すると魔理沙の目が、光る何かを捉えた。確かにそれが再思の道の一本道から外れた、彼岸花の集団の中に埋もれている。

「あったぜ。次の目印」

「よくやった! これを目印に進んでいけば」

レミリアは言葉を切る。道外れの次の目印がある所の、上空を細い目で見た。

「どうした? お迎えか」

半分冗談で言いながら、魔理沙もその方向を見る。すると、

 

「隔符『晦日アイソレイション』!」

 

という声と共に、薄暗い道を照らすかの如く放たれる弾幕が三人に迫った。

「ふっ」

レミリアとフランは咄嗟に飛び立つ。魔理沙も箒に跨り、弾幕を回避しながら上空に飛んだ。

「なんだ、本当にお迎えが来たのかよ。私達はそんなに歓迎されているのか」

恐らく吸血鬼の住む所がある方向から来たのであろう。レミリア達の目的地があるであろう方向の空域に浮かぶ一人の悪魔。

「お前は誰だ? 吸血鬼か」

レミリアが問う。対峙する悪魔は、足元まで伸びている長い髪を払って、小さく口を開いた。

「吸血鬼じゃない。私は概念から生まれた悪魔、ディスピア・アイソレイ。大公閣下の命を受けて、手厚く歓迎してやれと言われた」

「で、さっきのが歓迎か」

レミリアは足元を、先程まで自分達が居た所を見た。其処には大小様々な大きさをした弾幕跡のクレーターが。

「当然。お子様ってば習って無い? 『歓迎するにはまず最初に花火』」

「聞いてない習ってない知らない花火じゃない。というか私の事をお子様って言うn

「ま、そんな事言わず」

ケラケラと笑う悪魔の少女。笑い肩が揺れる度に、頭の装飾物の鈴がチリンチリンと鳴る。

「お姉さま、此処はもう手っ取り早く、私がキュッとしてどかーんってやるよ」

フランが一歩分前に出て、掌を上にして腕を突きだした。笑うのを止めて呆けた顔でその光景を見るディスピア。

「ちょっと待てフラン、それやったら」

フランの破壊の能力。それを生物にやればB級ホラー映画の如く身体の中のものが色々あんな事やこんな事という放送禁止な事になってしまう。魔理沙はフランに止めさせようとして、

遅い。フランは掌の握った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。もう一度言う。握った。

「あれ?」

フランはもう一度同じように掌を広げ、握る。だがディスピアはそれを呆けた顔をしながら見ているだけだ。身体に何かあるわけではない。

「効かない。あなた何者?」

「ん? 至って私は健康だけd

「そんな事聞いてない」

フランは、目線をディスピアから足元にある、大の大人の身長よりも大きい岩を見た。それを見ながら、掌を広げ、ギュッと握ると岩は風船のように破裂。破片は周辺の彼岸花を巻き込み、大きなクレーターを作り出した。花弁が辺りに舞う。

「わお。あれ遠隔でやったの? 凄いね」

「私は物の『目』を自分の掌まで持って来れる。それをギュッとしたらあの岩みたいにドカーンってなるんだけど、なんであなたには効かないの?」

フランの破壊の能力は、幻想郷の中でも最強レベルのチートさを誇る。それが効かないとなると、腕前云々の問題でなく、何か特殊な能力を持つと考えて良いだろう。

それを聞いて、ディスピアは何か思い浮かべるように答えた。

「私? 私は『何事をも隔絶する程度の能力』を持ってるよ。自分に対する事は無意識で発動してるらしいけど」

「隔絶? なんか難しいからそれは良いけど、これなら私と遊べそうね」

フランは楽しそうな顔でレミリア魔理沙の方向を振り向いた。

「お姉さま、私この人と遊んでるから先に行っててくれない?」

「遊ぶって」

「まぁ良いじゃないか? どのみち手間が省けるし」

「そうね・・・・・・・・。じゃあフラン、遊ぶのが終わったら、私達が居る所に来るのよ?」

「はーい!」

フランは再びディスピアの居る方向を見た。

「ねぇ、私と遊ぼう?」

「ホラー感満載。でも私は歓迎を命令せれたんだしオッケーよね。良いよ、お子様の相手は苦手だけど」

そうして、フランとディスピアの弾幕ごっこが開始された。

「さて、ここはフランに任せて。行くわよ」

「あいよ」

レミリア魔理沙は次なる目印を目指し、眼下に彼岸花をのぞみ飛んだ。