東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

日喰異変 ~東方陽蝕昼 Ⅵ~

小型の弾丸がばら撒かれる。霧状の弾幕宙を舞い、魔理沙を襲った。だが、その弾幕は一つとて魔理沙には当たる事は無い。それも当然、魔理沙は長い間、数多の種類の弾幕を回避してきたのだ。これしきの弾幕なんて相手にならない。ましてや初見で即ピチュるなんて事も無い。

「この程度なら全然当たらないぜ?」

余裕の表情を見せる魔理沙。だが、実際にも余裕なのだ。魔理沙はユミエルヌに人差し指を揺らし、挑発した。

「言ってくれるな」

ユミエルヌはその挑発を華麗にスルー。簡単に乗ってくれる程楽な相手ではないのか、と魔理沙は思う。簡単に挑発に乗る程度の輩なら、台詞で上手く誘導して楽に勝てるのだが。

そう考えていると、ユミエルヌが不敵に笑った。

「そう余裕ぶって他の事を考えてると、足元が空くぞ?」

「何っ」

魔理沙はユミエルヌの警告を聞いて足元を見る。すると足元から、巨大な弾丸が迫っていた。その弾丸は、魔理沙の竹箒の三倍はあるであろうかなり大きなもの。回避が遅れれば直撃は避けれないような代物だ。

「ちっ!」

魔理沙は大きく旋回してその巨大な弾丸を回避する。だがそれは、相手からしてみれば予想済みの行動。ユミエルヌは魔理沙の回避コースに弾幕を張って撃墜を狙うが、魔理沙はこれを乱暴ながら見事に避けて見せた。

「流石に、ディスピアを突破しただけはあるな」

ユミエルヌは追撃の弾幕を張りつつ感心する。魔理沙は偶然にもその小言が聞こえたので、心の中で少し笑ってしまった。

(フランに任せて逃げて来たんだけどな)

笑いを堪えつつ、魔理沙は帽子の中にあるミニ八卦炉を取り出した。魔理沙が持つマジックアイテムでは無双の攻撃力を持つミニ八卦炉。一つで山すら焼くこれの、ユミエルヌは火力を知らない。その無知を狙った奇襲の一撃が直撃し、通用するのは一度だけだろう。

魔理沙は旋回してユミエルヌの激しい弾幕を回避しながら、ミニ八卦炉をユミエルヌに向けた。ミニ八卦炉は魔法陣を展開、それと同時に回転と共に光り出す。眩しい光がミニ八卦炉から漏れだす。

魔理沙は一呼吸整え、思いっきりスペカ宣言した。

 

「いくぜっ、恋符『マスタースパーク』っ!!」

 

夥しい光の束が、ユミエルヌに向かって放たれる。

「!!」

ユミエルヌは高い反射神経で『マスタースパーク』に反応し、即座に弾幕を解除。恐らく弾幕結界を背負ったままでの回避は難しいと判断したのであろう。回避しようと身体を右に動かす動作をとるが、『マスタースパーク』の方がユミエルヌの回避より早い。ユミエルヌが回避する程の時間も与えず、光の束はユミエルヌに直撃した。

「ぐうっ・・・・・・・・・・・・・!!」

光の束を受けて歯を食いしばり耐える。ミニ八卦炉は光を放出を終了、魔理沙は一度ミニ八卦炉を帽子の中に仕舞い込んだ。ユミエルヌは『マスタースパーク』をモロに受けたその状態で、

 

「・・・・・・・・・・濃霧『殺人ミスト』!!」

 

新たなる弾幕を展開する。だが、先程と比べてユミエルヌの見た目もその目も、殺気らしいものが漂っている。明らかな敵意が、その目に浮かんでいた。この弾幕も先程のと比べて、難易度が明らかに上昇している。

「舐めてかかって悪いな人間。いや魔理沙、お前は此処で確実に始末する!」

『殺人ミスト』が魔理沙に迫る。魔理沙はそれを見て、大きく旋回して回避行動をとった。魔理沙が避けた『殺人ミスト』を構成する弾丸は、遥か彼方の彼岸花を吹き飛ばし、城壁に細かい貫通穴を作り出す。一発でも当たれば無傷では済まないであろうそれだが、弾幕魔理沙には全く当たらなかった。勿論、掠りもしなかった。だが、いつまでも回避を続ける程魔理沙は気が長くない。

「こいつは面倒だな」

魔理沙は再び、ミニ八卦炉を取り出しユミエルヌに向ける。ミニ八卦炉を中心にして魔法陣が展開され光り出し、ミニ八卦炉と魔法陣が回転し始める。

「させてたまるかッ!!」

ユミエルヌは、『マスタースパーク』を回避出来ないと見て弾幕の密度を高めた。魔理沙は高い密度の弾幕により更に複雑な回避を迫られたが、ミニ八卦炉の狙いを変える事もずらす事も無い。ほおっておけばまたやられると、ユミエルヌは更に気合と魔力を込めて魔理沙を撃墜せんと力を込めようとしたその時。

 

一本の穿たれた槍が、ユミエルヌの身体を貫いた。

 

その槍と共に、襤褸切れの如く吹き飛ばされたユミエルヌ。穿たれた槍が地表に着弾すると、その一帯は大きな爆風に包まれる。魔理沙が投げられた方向を見ると、レミリアが槍を投げた余韻も残さずに浮かんでいた。槍を投擲したのは、他でもないレミリアである。

「あんな悪魔に何手古摺ってんのよ。さっさと行こうよ」

レミリアが、魔理沙にさほど大きくない声で魔理沙を叱咤する。魔理沙は穿たれた槍が着弾した地表を見ながら一言。

「おいおい、あんな暴力的に片付けて良いのか」

「悪魔ならあの一撃じゃ死なないって。大丈夫よ」

魔理沙は周辺をキョロキョロと見渡すが、レミリアを相手していたもう一人の人物が見当たらない。レミリアがぶっ飛ばしたのだろうが、先程の伯爵が任せたからには相当な腕の持ち主だった筈だと魔理沙は思う。まぁレミリアの実力なら余裕か、とその無駄な考えも直ぐに捨てて、魔理沙レミリアは高い城壁を越えた。