東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

日喰異変 ~東方陽蝕昼~ ⅩⅣ

「はあああああああああああああああああああああ!!!!!!」

悪魔の城の中庭に、大量の御札が舞った。その全ては不可解に進行方向を転換し、一人の悪魔。スぺアルに向かって突進する。

「当たらない、当たらない」

現在霊夢が投げているのは、自動追尾の能力が付与されているホーミング弾。相手が突風のように早くなければ、大体当たる代物だ。スぺアルは大した機動力が無い為、両手に展開させている魔法陣と結界によって全ての攻撃をあしらう。それと同時に、中庭全体に広がっている巨大な結界から大量の弾幕を張って霊夢を撃墜せんとする。

一度霊夢が『夢想封印』を当てた後は、完全に膠着状態だった。

「さすがに、疲れてきたわね・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」

だが、このままだとやられてしまうのは霊夢の方だろう。相手はどうやら、霊夢自身の攻撃弾道を理解しているらしい。そのくせ夢想封印が直撃したのは不思議だが、こちらの不利に変わりはないだろう。ここまでの長時間同じ相手と弾幕ごっこをする事は霊夢にとっても初めてだ。なにせ大体は数分で葬るから。

対するスぺアルも表情には出していないが焦っていた。

「(気付いてない、けど気付かれれば確実にやられる)」

直撃した以上、夢想封印によるダメージは簡単に拭えるものではなかった。自分一人に夢想封印を連発してくるような霊夢ではないとは思うが、仮にそうなれば即刻の撃墜は免れない。レミリア王女を大公閣下が捕えて投獄し、スぺアルが霊夢を倒して投獄する計画が崩れてしまう。それどころか、それでは大公閣下の身が危ない。

「(気付かれるより早く、先に仕留める方が先決。でも、それでまた夢想封印を使われたら、こちらが危ない。このまま膠着させた方が無難)」

スぺアルの目的は時間稼ぎだ。出来るなら博麗の巫女を捕まえて、更に時間を稼ぐ。世界から完全に日輪を奪うには、見た目以上に時間が必要だ。最大の脅威が博麗の巫女である以上、それに対して時間を稼ぐに超した事は無い。

そう思ってスぺアルが、改めて脳内計算を終了し現実の方に意識を向けようとした時。

 

「これで、どうだあああああああああああああああああああ!!!!!!!」

 

霊夢が、スぺアルに向かって突撃してきたのだ。弾幕ごっこにおいて一部以外の相手に急速に接近すれば撃墜は必至。いくら距離を開けていての均衡が続いているとはいえ、この行動はスぺアルの思考を完全に凌駕していた。予想外の予想外、スぺアルは思いもしなかっただろう。

急速で接近していく霊夢。未来を見られて避けられるのであれば、未来を見られても避けられない程の距離まで接近すればよいという危険で単純かつ大胆な作戦に出た。このまま時間が掛かっても霊夢にとってはラチが明かない。正直、相手が有利になっていく事を指をくわえて見ていると同義だ。腹が立って仕方が無い。

霊夢はホーミングアミュレットから封魔針に装備換装する。そこまで接近すれば、撃ち落とされやすい誘導弾より超高速の封魔針の方が勝手が良い訳だ。なにより、当たる確率が上がるもんだから威力は高い方が良い。

この作戦に出た事で、戦局は一気に霊夢に傾いた。

「(しまった、あれは弾けない!)」

スぺアルにとっての『あれ』は、霊夢の封魔針の事だ。ホーミングアミュレットはある程度は狙う必要が無いが威力は低い。封魔針は散布界が小さく狙わなければ当たらないが、それをカバー出来る分の威力は高い。掌に展開させている結界では封魔針を受け止めるどころか触れるだけで大破だろう。スぺアルは全速力で霊夢との間合いを開こうとする。その行動でより一層、接近される嫌、という事が霊夢に勘付かれてしまう。

「やっぱこれが正攻法ね! ボコボコにしてやるわ・・・・・・・・・・・・・・!!」

スぺアルは弾幕を自身の付近に展開させて、密度を上げる。だが、密度を上げた弾幕は接近された事で更に威力が増した封魔針によってそれらは突破されてしまった。突破によって威力が下がった封魔針が、スぺアルに到達する。スぺアルはそれを結界を使って弾き返す。だが、封魔針は矢継ぎ早に速射される。このままでは押し切られるのが関の山だ。

「く、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!」

だが、スぺアルはその場しのぎで結界の修復と弾幕の展開しか手段が無い。

と言うより、スぺアルには他の攻撃方法を持ち合わせていない。

「これで、どうだ!!」

霊夢が渾身の力で更なる接近を試みた。封魔針が次々とスぺアルの弾幕を突破する。スぺアルは弾幕を突破した封魔針を結界で弾き返すが、如何せん数が多くなっているのだ。突破してくる封魔針が反応出来る数を上回り、スぺアルが次々と被弾する。ボスであり耐久力があるスぺアルだが、元々の耐久力は本人も自信が無い。封魔針の被弾が多くなれば撃墜は必至だろう。

遂に、スぺアルの結界が修復が間に合わず砕け散った。

「!!」

「、もらった!!」

 霊夢の周りを周回する陰陽玉から放たれる大量の封魔針。数多の人外を屠ってきたであろう退魔の針が、知恵を持つ悪魔に多数襲い掛かった。それを迎撃する術をスぺアルは持ち合わせていない。多数の封魔針を受けたスぺアルは、成す術も無く撃墜され城の中庭へ墜ちていった。

「流石霊夢だな。相手の弱点を突く事無く奴を倒すか」

スぺアルが撃墜されたのを確認して、魔理沙霊夢に近付いて来た。当然、今から邪魔しても弾幕ごっこは終わったので、手を出す事は無いだろう。

「別に弱点を突く事が弾幕ごっこじゃないのよ。そもそも弱点て何?」

「あー・・・・・・・・・・・・、いや、いい。言っても無駄だろ?」

「まぁ、そうだけど」

そうして二人は、天守の中に入る。

 

霊夢魔理沙、城『天守』に侵入。