東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

日喰異変 ~東方陽蝕昼~ ⅩⅤ

城に侵入したは良いが、先に誰かが入ったのか敵とは全くと言っていい程会わず、霊夢魔理沙は進撃した。途中で悪魔のような相手に会ったが相手にならず、軽くあしらって足の裏で踏んで行った位である。

そうして、一階から霊夢魔理沙は、五階に到達している。

巨大な扉を前にして、霊夢が不意に口を開いた。

「前も此処で吸血鬼に会ったよ」

「何? 初耳なんだが」

「そりゃあ言ってないからね。確かこの部屋の筈っ!」

霊夢は扉を思い切り蹴飛ばした。扉は鍵は掛かっておらず、手で開けたかのように簡単に開いた。わざわざ蹴飛ばす必要もなかった。その次の扉は無残に砕かれている。

「やっぱりレミリアの方が早かったか」

レミリア? 来てるの?」

「あぁ、同族に説教するとか何とかってな。結局は弾幕ごっこになるんだけどさ」

と言って魔理沙は歩き出した。その背中を見て霊夢も奥の『謁見の間』に足を進める。

其処には、確かにレミリアが居た。レミリアは部屋の奥を睨みつけている。奥には一つの王座に、一人の吸血鬼が座っていた。

 

――――――――部屋の中にもかかわらず、突風が部屋を駆け抜ける。

 

「スぺアルは、止められなかったか」

王威溢れる声が『謁見の間』全体に響き渡った。それ程大きな声でない筈なのに、聞く者に冷や汗をかかせるであろう重圧感。心が弱い者が相対すれば発狂するだろう。もっともそんな人間この場には居ないが。

「近衛兵も外で手一杯か。それでも、大勢でいてたかが三騎を止められないとは」

「どうでもいいから、早く月と太陽を元に戻しなさい」

吸血鬼の言葉を遮って、霊夢は警告した。溢れる王威を何とも思わず、勇敢なのか鈍感なのかは分からないが。

「迷惑だからね。じゃないとこの城ごとどうにかなるけど良いの?」

警告が脅迫に変わる。霊夢の力をもってすれば、城全体は兎も角天守瓦礫にする事は可能だろう。そうなれば天守に部屋を持つ悪魔達は中庭で雑魚寝状態となる。

だが、城を支配する王威溢れる吸血鬼は脅迫には屈しなかった。

「人間如きが、私の邪魔をするのか」

霊夢も博麗の巫女である以前に人間。そういう差別的意味を込めて、吸血鬼は口を開く。

「我々が夜の帳に支配されて早二千年。聖人に邪魔され、聖者に邪魔され、日輪に邪魔され、永い間黙ってきた。だが、その時は終わる。あの紅い月と」

「吸血鬼って、そんな喋り方の奴が多いのは何でだろうな」

魔理沙が茶化すが吸血鬼は無視。そもそも眼中にも無いのかもしれない。

「だが、こうも邪魔に遭っては仕方あるまい。無情だが、障害は排除するに限る。レミリア王女、貴女には失望した。その人間と共に十字架にさらしてくれる」

「言ってくれるね。霊夢舐めない方が良いわよ? 痛い目を見ても知らないからね」

「王女? レミリアっておうj

魔理沙レミリアに聞く前。熱線が部屋を切り裂いた。

「ッ!?」

天守が切り裂かれた。その原因は、王威溢れる吸血鬼の左人差し指から放たれた熱線。天守が瓦解する事は無かったが、直撃すればタダでは済まなかった。人間なら致命傷であっただろう。

「我々吸血鬼とは、一体何時、どうやって生まれたと思う?」

吸血鬼が王座に座ったまま、三人に問いかけた。

 

「人々が吸血鬼と噂をした元凶は、昔ある領主が行った残虐な行為からの想像だ。だが、それ以前から吸血鬼という者らは存在した。ただ単純に識別されてなかっただけだ。

本来我々は、二千年以上前から存在していた。世界最大の宗教が生まれる、ずっと前。神という存在が世界を創り出した、その時に我々は神の計算外の生命として生まれたんだ。

その神に我々は呪われた。血を飲まねば生きていけぬ呪い。日輪の光を浴びれば朽ち果てる呪い。人間と共に過ごせぬ恐怖の呪い。

故に我等、吸血鬼一族を統括する『ブローディ家』は呪いを与えた神を許しはしない。呪いには呪いを、日輪に永遠に光を灯せぬ呪いを与えた。

私は日輪を許さない。あの紅い月は我等の支配の象徴だ。ここからは我々の時間だ」

 

「要するに復讐って訳ね」

「太陽に大して腹が立つのは同意見だけど、復讐するのはどうかと思うね」

霊夢レミリアが自分の意見を吸血鬼に言う。その言葉に吸血鬼は明らかな反抗の火を瞳に灯した。

 

 

「ならば戦う理由は無い。

私は悪鬼羅刹の王、ティユエル=ブローディ! 立て民衆、非道の王を踏み倒せ!

私は全力で、貴様ら愚民を叩き潰そう・・・・・・・・・・・!!」