東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

日喰異変 ~東方陽蝕昼~ ⅩⅥ

「避けろよ民衆、惨事『皆殺しパーティ』!!」

ティユエル王を中心にして、極端に大小バラバラな弾幕が花火の如く部屋全体にばら撒かれた。ただし、この弾幕は相手の撃墜を目的にしているものではない。相手の視界を潰し、死角から首を刈る為の駒にすぎない。ティユエル王は復讐を確実にする為に、同族諸共人間である霊夢魔理沙も葬るつもりでいる。最も、黙ってやられるような二人ではない。回避を繰り返しながら確実にティユエル王の動きを捉え、撃墜せんと手加減無しの弾幕を張る。元々妖怪退治に使われてきた道具だ。それは高貴で高い戦闘能力・再生能力を持つ吸血鬼相手でも高い効果を発揮する。紅霧異変の際に、それははっきりと証明されている。

グングニル、来なさい!」

レミリアグングニル、というかそれを模した槍状のエネルギー体を召喚して、ティユエル王に突撃を図る。レミリアとそれ程大きな関係でない、知り合い程度の関係である霊夢魔理沙だが、レミリアの移動コースに弾幕を張るのを止めて援護した。

「くらえっ!」

グングニルによる一突き。直撃すれば如何に吸血鬼の自称王でも無事では済まない。レミリアのスピードは何所ぞの風神並だ。油断すれば一瞬で肉薄され、心臓を突かれて絶命するだろう。

「神剣『ソード・オブ・ダ―インスレイヴ』」

ティユエル王は刀の形象をした物体を召喚し、右手に持つ。赤い刀身、その赤さはどす黒い血のようだ。ティユエル王はそれで、レミリアグングニルの突撃を阻止した。レミリアは突撃を容易に弾き返されたがめげず、切り返してグングニルをティユエル王に叩きつける。ティユエル王はそれを、赤い刀で受け止めた。

「人間に肩入れするとは、如何なる考えをお持ちかレミリア姫」

「あんたは私の二の舞をしそうになってんの。同族が恥かくのを防ぎに来ただけだよっ!」

レミリアは力ずくでティユエル王を押し返す。ティユエル王はその押し込みに対して流すように払い除けた。それにより生まれたレミリアの隙、そこを狙ってレミリアの羽ごと切り捨てようと刀を左袈裟に振り下ろす。レミリアは強引に身体を捻ってグングニルを構え、防御の体勢を取る。刹那後にティユエル王の刀が直撃、レミリアは床に叩きつけられた。

「スカーレットも堕ちたものだな。統領家の考えに背くとは」

「堅苦しい奴ね。一回これ食らって、人の意見を聞くっていう力を身につけなさい」

神技『八方鬼縛陣』、という霊夢の小声と共に、大量の御札がティユエル王に殺到した。その札一枚一枚には、巫女の霊夢が祈祷を捧げたありがた~い言葉が書かれ、その詞は人外にとって有害であろう。まともに受ければ吸血鬼も例外無く、祝詞によって身を穢される事となる。

「その程度の数では、我等吸血鬼の速度を捉える事は出来ないぞ?」

ティユエル王は大きく旋回。直撃コースに来る札は右手に持つ刀で弾き返し、反撃の機会を伺う。一瞬でも隙があれば突入し、霊夢の首を刈り取る。これがティユエル王の寸法だ。

だが、その寸法は直ぐに破棄される事となる。

「じゃあ、これなら捉えれるか?」

はっとティユエル王が進行方向を見やる。霊夢レミリアの動きばかりを注視し、尚且つただの魔法使いと軽視し、警戒もしていなかった魔理沙が、恐るべき魔力を秘めたミニ八卦炉を此方に向けているではないか。

「!!」

ミニ八卦炉から発せられる魔力の漏れは、ティユエル王が魔理沙を見た時に想定した量を遥かに上回る。それは吸血鬼のティユエル王ですら警戒する程である。直撃すればタダでは済まない。だが、魔理沙の攻撃はティユエル王の回避行動を凌駕したスピードで撃ち出された。

「恋符『マスタースパーク』、だぜ!!!」

ミニ八卦炉から吐き出される魔砲。ティユエル王はそれを回避する事は出来ず、両手をクロスさせて身を小さくし、最低限の防御を施す。其処に、虹色の光が直撃した。

だが、ただ放出されている魔砲を頑張って最後まで我慢する必要は無い。ティユエル王は小さな身体に力を溜め込んで、一気に爆発させるように放出。突風と爆風によって光の束を掻き消し、魔理沙霊夢諸共吹き飛ばした。レミリアは自前の力で吹き飛ぶのを堪える。二人は一回か二回空中で回転して、空気を使い受け身を取った。当然二人は無傷である。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、ふむ」

ティユエル王は服に付着したホコリを払う。そしてレミリア霊夢、正式に魔理沙も一つの脅威として認識し、順番に見やる。

「少々見解が甘かったようだな。やはり、全力で叩き潰す方が好ましいか」

そう言ってティユエル王は左手を、霊夢に向かって突き出した。

「残念だけど、全力で叩き潰されるのはそっちの方よ」

「威勢が良いのは良い事だ」

そして、フランドールのように、左手を軽く握り締めた。

 

 

 

 

「、が、がほっっっ!!??」

 

 

 

 

霊夢が、大量の血を口から吐き出した。

「ごほっ、がはっ! がはっ!!」

「だ、大丈夫か霊夢!?」

霊夢は喉に詰まった血も吐き出し、数回呼吸をして整える。口元に付着した血を裾で拭った。

「な、何をしたのよ」

「何、血管を多少破裂させただけだ。私は相手を問答無用で血塗れにする能力を持つ。これ即ち、相手の血流を操作出来るという事だな」

「血流を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

血流を操れるという事は、相手を一方的に戦闘不能に陥らせる事が出来るという事だ。激しく動いている相手の脈を遅めて呼吸困難等に陥らせる事や心肺蘇生は序の口。脈を止めて瞬殺する事も、大量出血させて瞬殺する事も可能だろう。これでなら、『攻撃が通過する』霊夢夢想転生ですら攻略出来るだろう。

先程の「全力で叩き潰す」というのは比喩ではなかったようだ。能力を使用し、相手を血の海に染め上げ、徹底的に蹂躙するつもりだったのだろう。

「どのみちこれで終わりだ。レミリア姫諸共、死んでくれ」

ティユエル王は左手を、再び開いた。その光景を茫然と見つめる魔理沙レミリアをよそに、ティユエル王はその左手を、

 

 

 

 

否。その左手は、肩から爆発して吹き飛んだ。

 

 

 

 

「っ!!」

大量の鮮血が噴出する。ティユエル王は能力を駆使し、即座に止血した。それと同時に、天守の壁が外から殴られたように破壊された。その破片がティユエル王を襲うが、それらを王は右手の刀で切り刻む。

「っ、誰?」

霊夢が破壊され穴の開いた外を見る。其処には二人の人影が・・・・・・・・・・・・・・、否。

 

 

 

 

「さぁ、次にコンテニューするのは誰なの?」

 

 

 

 

何時ぞやの悪魔の首根っこを持って現れたのは、悪魔の妹。最凶の吸血鬼。

フランドール・スカーレットであった。