東方物語録 ~東方二次小説置場~

『堕華(おちばな)』っていう馬鹿が小説を公開してる所です。不定期でない程度に不定期。

日喰異変 ~東方陽蝕昼~ ⅩⅧ

目を覚ました時、城の象徴たる天守は崩壊していた。

「これは、」

おそらく先程自身を襲った攻撃の余波によるものだろう。石造りで堅牢に建造されていた筈だが、四人の攻撃には耐えれなかったようだ。こればかりは仕方あるまい。

「お目覚めか?」

立ち上がると、後ろには黒白の魔法使いの魔理沙が、瓦礫を椅子にして座っている。見渡して、何か価値のある物を探しているようだ。大体、誰かのせいで瓦礫の下だが。

「大体五分位しか寝てないぜ。吸血鬼ってのは睡眠から覚めるのも早いんだな」

ティユエル王は肩に乗っていた埃を払い落す。どうやら自分は敗北したようだ。先の四つの攻撃が、天守に崩壊させる程のダメージを負わせただけでなく、吸血鬼の自分を気絶させる程の威力を持っていたという事か。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふむ、そう言う事か」

先程身体が動かなかったのは、運命を司るスカーレットの能力を行使した為か。ティユエル王がフランの能力を無効化したのは被っている王冠の恩恵である。自身が能力を使っていない限り、他の吸血鬼の能力をシャットアウトするものだ。だが、個人でなく空間、場合によっては世界にまでその能力の影響が出る、レミリアの『運命を操る能力』によって、『攻撃が直撃する運命』をティユエル王に背負わせたのだろう。『運命の能力』は、ブローディ統領家が暴走した時に止める、反撃の能力でもあった事を忘れていた。

「ねぇ、目ぇ覚めたんならさ、これもう止めてよ」

そう言いながら歩み寄ってきたのは紅白巫女。ティユエル王が気絶する前から何も姿が変わっていない。どうやら五分程度しか気絶してなかったのは事実らしい。霊夢は天を、夜空を征服している紅い月を指差した。

「これを召喚した当の本人なら、消せるでしょ? それともまたボコされたいの?」

紅い月は夜の帳と共に、本来出ている筈の太陽を隠している。根本的には紅霧異変の時と同じだが、あの時は霧を出したが、今回は夜の帳と紅い月を召喚したのだ。規模という規模がまるで違う。

「―――――――――――――――――――――――――――――」

ティユエル王は紅い月を見上げる。天で紅い月が、日輪を喰らい蒼天を喰らい、世界を黒く染め上げている。あれは個体でなく集合体だ。フランの能力でも破壊し切る事は現実的ではないだろう。故に霊夢は吸血鬼の王であり今回の主犯格であるティユエル王に強いているのだ。反抗すれば今度こそ、文字通りミンチにされてしまうだろう。意外と肉体的疲労とダメージ蓄積量は大きい。ティユエル王でも、先の時のように十全には戦えないと思われる。

 

 

だが、それでも。

 

 

「聞けない願いだな」

 

 

それでも尚。ティユエル王は引かなかった。

「へぇ、それじゃまたボコボコにしても良いって事?」

霊夢がお祓い棒をティユエル王に向ける。それを見て、フランとレミリアも此方に近付き魔理沙も立ち上がってミニ八卦炉を取り出した。コッチはやる気満々だぜ? と言わんばかりである。

「これは元々私が用意した物ではない。よってこの魔術は私は消せない。仮に消す事が出来ても、私はそのような真似はしない。この行為こそが我等の復讐であり、昼の世界を奪う為の前座であるのだから」

「そんな事言ったって私があんたをボコす事に変わりは無いわ。覚悟は言い訳?」

霊夢がお祓い棒を構えた。やろうと思えば次の瞬間、虹色の弾幕やら陰陽玉が飛んできてティユエル王は叩き潰されるであろう。だが、その劣勢を見てもティユエル王は屈しない。寧ろこの方が威勢が良いと、霊夢がお祓い棒を振り下ろそうとしたその時。

 

 

 

「貴様らも、覚悟しておけよ?」

 

 

 

ティユエル王の言葉と同時に、レヴァーテインを構えていたフランが崩れ落ちた。

「フラン!?」

フランの後ろに突如出現、佇んでいたのは、

 金髪のロングヘアーにドレスを囲うように装飾されている、拘束具を思わせる紅い紐。両手首にぶら下がる、破損した手錠。王威を感じさせる草の王冠、一本の長い槍。

「お前は、」

魔理沙は大きな瞳を更に、驚いたように大きく開かせる。それもそうだ。彼女は先程まで、地下深くの牢屋に投獄されていた筈なのだから。

 

 

 

 

「私達を、邪魔する愚民は誰なの?」

 

 

 

 

血の雨。逆十字。全ては我らから昼の世界を奪った『 』への復讐の為。

『 』に反逆し、『 』を討つ。

『神討反逆の吸血鬼』トゥリズン=ブローディ、馳せ参じる。